寝たきり度と筋肉量の低下 自立した生活を継続するために

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自立した生活を送っていた生活が一変し、突如疾患や外傷に襲われた場合、その治療と機能の経過を見守る時間が長くなればなるほど、元の生活に戻るまでの時間も長くなります。
寝たきりで過ごす安静状態は、外傷や疾患治療にとって欠かせない必要な時間ではありますが、同時に維持されてきた部分の身体能力を低下させることになります。


〇寝たきりと廃用症候群の関係
ケガや病気の治療を目的にして安静にしていると、筋肉や関節を動かさない時間が長くなり、運動機能が低下します。
更に治療の時間が長くなると、元の生活に戻れるのかという不安に襲われ、心が不安定になりやすい傾向もあります。
元どおりに体を動かすことへの恐怖や、運動機能が低下して思い通りに体が動かないことに対する不安が生じ、外出意欲も低下してしまいがちです。
次第に寝たきりで過ごす時間が長くなり、自立した生活への取り組みや意欲を損なってしまう「廃用症候群」となってしまいます。

 
〇寝たきりにしないために筋肉を動かす機会を
安静状態にあっても、残存している運動機能を維持する取り組みは可能です。
絶対安静の重篤な状態でなければ、できる限りケガ部位以外の筋肉や関節を動かす機会を作るようにしましょう。

 
●筋肉を動かして床に足裏をつける時間をとる
絶対安静でなければ、下半身をこまめに動かす時間を設けます。
寝たきりの体勢でもできるような、足(太ももやふくらはぎ)の筋肉と関節(膝や足のつけ根部分)のマッサージ、曲げ伸ばしをして刺激を与えましょう。
下半身の筋力が急激に衰えると、離床して活動するのが難しくなります。
ベッド脇に立つ・ベッドに腰掛けて足の上げ下げをするなど、足裏を床につけて下半身を動かす時間とりましょう。

 
●離床・リハビリをしやすい環境をつくる
歩行が可能であれば、無理をしない範囲で転倒に注意しながら、ベッドから離れる時間を徐々に長く取るようにしましょう。
介助をする立場の人は、治療を優先して安静にすることにこだわらず、付きっきりの介護を避けるようにします。
起き上がりやすい、座位をとりやすいマットレスや歩行具を導入して、ゆっくりでも徐々に筋肉や関節の機能を回復させていきます。
タンパク質やカロリーの摂取にも配慮が必要です。十分に栄養を取って筋肉を動かしやすい身体状態を心がけましょう。

 
●自立への前向きな気持ちを支える
寝たきりで過ごした人が、自立した生活を再び送る・自分でできることを増やすという前向きな気持ちにならなければ、多少なりとも痛みや辛さを感じるリハビリを続けるのは困難です。
活動するために必要な筋肉量へ戻すためには、一定期間の運動を要します。
辛さを感じたときに励ましや支えになる物事や、自由に動けるようになってからの楽しいイメージを持って、廃用症候群を切り抜けましょう。

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