褥瘡と患者の状態を評価する「スケール」の種類

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看病や経過観察が必要な安静状態の人は、常に褥瘡が起こるリスクを把握しておかねばなりません。
しかし、看護や介護を担う人の主観や見た目で状態を判断していては、治療方法が定まらず、適切な処置が行えない可能性もあります。
そこで、客観的に褥瘡の起こるリスクや、創傷の状態を評価するスケールを用いて、褥瘡の発生リスクを正しく判断することが大切です。


〇マットレス導入に欠かせない評価「OHスケール」
寝たままの姿勢が続くことで、発症リスクが高まる褥瘡を回避するために、どのような寝具を使えばいいのかを評価するためのスケールとして用いられるのが「OHスケール」です。

 
●褥瘡のリスク評価判断基準
OHスケールは、患者の体の状態から褥瘡リスクを判断し、体位変換の間隔やずれ力を想定して体圧分散マットレスの選択を行います。
判断する基準は主に4つあります。
評価項目と基準は以下のとおりです。
1・自力体位変換…自力で体を起こしたり、寝返りを打つことができるかどうかによって、できる・どちらでもない・できない、の3段階で評価し、点数化します。
2・病的骨突出…痩せや疾患による骨突出部位があると、その部分に体圧が集中して褥瘡が起こるリスクが高まります。
その程度を評価するために、骨突出程度を、軽中等度・高度、の2段階で評価して点数化します。
3・浮腫…疾患などによって浮腫が認められる患者は、圧迫によって水ぶくれやびらんが発生し、広範囲にわたって褥瘡が起こりやすくなります。
浮腫がある場合にリスク点数を加点します。
4・関節拘縮…関節が折れ曲がったまま動かすことができない、または関節が硬い患者は、関節部分の骨に圧迫が掛かりやすく、ずれ力を大きく受けます。
関節拘縮がある場合にリスク点数を加点します。

 
〇患者の身体評価をおこなう「プレーデンスケール」
褥瘡が起こる理由は、体位や圧迫、ずれ力だけではありません。
患者の身体機能は皮膚の状態、食事の摂取など、生活環境や身体状態も褥瘡発生リスクと大きく関わっています。
プレーデンスケールは、褥瘡が起こりやすい身体状態か、活動状況はどうかを客観的に評価して、その程度を判断し、褥瘡を発生させないための取り組みと観察を行う基準となるものです。

 
●プレーデンスケールの褥瘡評価基準
褥瘡が起こる直接的な要因となるのが、体圧とずれ力です。
これらの要因が起こったときに褥瘡が発生しやすいかどうかを見るための基準が6つあります。
1・知覚の感知(体圧やずれ力を不快に感じるかどうか)
2・湿潤(皮膚が湿潤にさらされている程度)3・流動性(臥床から歩行可能まで) 
4・可動性(体動が全くないレベルから自由に体を動かせるまで)
5・栄養状態(食事の摂取量と栄養状態の把握) 
6・摩擦とずれ(介助によるずれや摩擦の有無)
身体の状態や看護レベルによって、褥瘡の発生リスクは変わってきます。
仰臥位(あおむけ寝)でマットレスに当たる体の部分の圧やずれの程度を評価する「OHスケール」と、患者の身体と向き合って褥瘡リスクを評価する「プレーデンスケール」で現状を正しく把握し、さらに改善点を見つけるのにも役立つでしょう。

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