デブリードマンと感染創 環境整備と早期発見がカギ

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皮膚のずれや圧迫によっておこる褥瘡は、発生する環境によって患部の状態や進行、治癒までにかかる時間が変わってきます。
特に、寝たきりの患者や高齢者は、皮膚乾燥や痩せによって褥瘡そのものを発生させやすい上に、仰臥位(仰向け)からの体位変換が自力で出来ない、思い通りに体を持ち上げることができないといった機能的なことから、常に介助や看護を行う人の手を必要とします。
併せて、患者自身が寝たままの環境を変えることが難しいので、付き添い人や医療に関わる現場の人が、褥瘡を悪化させない環境に配慮する必要があります。
なかでも、褥瘡治療の環境整備で注意しなければならないのが「感染リスクの軽減」です。


〇早期に取り組むべき感染対策
療養を必要とする人に対しては、疾患の治療や安静時にさまざまな感染のリスク対策を行わねばなりません。
本来の病気治療や安静だけでなく、感染による処置や治療を追加しなければならなくなると、患者本人だけでなく、介助を行う人にとっても負担が大きくなります。
そのためには、「清潔・洗浄」が重要となります。
患部だけではなく、寝具や福祉用具、室内空気、そして介助人の手洗いうがい、手袋やマスクの着用など、あらゆるところに感染のリスクを想定しておかねばならないでしょう。

 
〇感染の進行とデブリードマン
近年では、特に高齢者介護を在宅で行う動きが活発になってきました。
落ち着いた環境で過ごすほうが、要介護者にとっても好ましいでしょうが、自宅で介護を受けている人は、褥瘡の発見が遅れがちで、疼痛や熱感といった感染兆候があって初めて病院を受診する人も少なくありません。
特に、創傷部表面が壊死細胞で硬化し、その下にポケットを形成した深い褥瘡がある場合、見た目には擦れた傷が腫れているように映るかもしれません。
しかし、創内部で感染が進んでいる場合、早期にデブリードマンを実施して切開し、創内を開放しなければ、筋膜や骨にまで感染がおよび、全身感染症状を引き起こす危険があります。

 
〇デブリードマン処置後の感染予防
デブリードマンなどの外科的処置を行ったあとは、術傷のケアを特に慎重に行う必要があります。
深部に至った深い褥瘡の場合、創内の感染細胞が残っているかどうか、経過を見ている間に感染が広がっていないかに注視し、抗菌薬やドレッシング材で処置します。
しかし、デブリードマンを行って、創の感染を一掃した後も、薬を塗布して傷を覆うだけでは万全と言えません。
何より、感染を進めない、予防するためには清潔にしておくことが大切で、洗浄は欠かせません。
寝たきりの患者の多くが、臀部や仙骨部分の褥瘡を長く患います。おむつや失禁パッドなどを利用する人は、真菌感染や汚染にも注意が必要です。

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