褥瘡の治癒判断をおこなう基準と予後のケア

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褥瘡が発生したら、創傷か所の処置と外用薬の塗布に加え、治療を続ける環境や生活スタイルを含めた包括的かつ継続的なケアと予防が必要になります。
一度、褥瘡を発症した部位は、皮膚の表面(上皮)がふさがったとしても、層が薄くなりがちです。
また、発症した時と同じ生活環境を続けていれば、再び同じ部位に褥瘡が起こるかもしれません。


〇褥瘡治癒の評価は
褥瘡は、日本褥瘡学会が公表している評価基準「DESIGN-R」を用いて相対的に評価を行います。
褥瘡の深さ、滲出液の量、大きさ、炎症や感染の有無、肉芽細胞、ポケット、壊死細胞の、いずれも評価0となった状態(健常な状態と同じ、または回復したとみられる)であると判断されたら、完治(治癒)したとみなします。
ちなみにこの評価基準は、褥瘡の重症度に対して体の受ける影響度を数値化したもので、深刻な状態ほど点数が高くなります。
快方に向かうほど点数は少なくなり、完治すれば評価点数が0になります。

 
〇褥瘡が治癒するまでの経過
評価基準となるDESIGN-Rでは、褥瘡の状態を「浅い」「深い」の2つに大別することから始まります。
浅い褥瘡は、評価7項目を小文字で表し、表皮細胞が再生して傷がふさがったら治癒したと評価します。
深い褥瘡は同項目を大文字で表します。
まず、深部にある壊死細胞や炎症・感染を起こした部分を取り除き、肉芽細胞が盛り上がって、真皮の下にある細胞を再生します。
再生した部分を瘢痕組織(はんこんそしき)といいますが、外的な刺激に弱いという特徴があります。
わずかな刺激でただれることもあるので、治癒したとみなされた場合も予防を引き続き行う必要があります。

 
〇治癒した後の褥瘡ケアは
いったん完治を確認した場合であっても、再び褥瘡を起こさない様な予防対策を行わねばなりません。
特に、治癒した部分とその周辺の皮膚状態を観察し、わずかな異変や兆候を見逃さない様にしましょう。
患者の身体状態で注意すべき点(自力での体位変換能力、筋委縮や関節拘縮、皮膚の乾燥や脆弱性)を定期的にアセスメントして、必要に応じてマットレスや補助福祉用具を使用しましょう。
皮膚が乾燥して硬化していくと、外的刺激に弱くなるので、保湿スキンケアは必須です。
褥瘡が発症する原因は、身体状態(老化による身体能力低下)、食事(栄養)摂取量、糖尿病や脊髄損傷などの疾患にまで及びます。
患者の身体と環境をトータルケアして、介助を担う人だけではなく、家族や地域サービス、医師と連携をとりながら、予防対策を続けていきましょう。

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