デブリードマンが必要な褥瘡の関節部で注意すべきことは

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褥瘡が深部に広がると、ポケットを形成して内部の感染が進み、治癒までの時間が長期化する傾向があります。感染が広がることで、周辺の細胞や組織にも炎症部分が増えてしまいます。
処置と悪化を繰り返している間は、褥瘡の傷を快方に向かわせる事ができません。
外用薬や抗生物質といった薬を用いる治療に加え、外科的な処置が必要になるケースもあります。患者本人にできるだけ負担をかけず、かつ良い経過に向かわせるために必要な外科的処置(デブリードマン)を実施し、創を「きれいに」することが大切です。


〇骨突出のある関節で起こる褥瘡の処置
デブリードマンを行うためには、適した傷の状態かどうかを見極める必要があります。デブリードマンは、炎症や感染を抑制するために行う処置ですが、一刻も早く、常に緊急性を以て行わねばならないという訳ではありません。
褥瘡の好発部位は、骨の突出部分です。寝たきりの人は、ベッドに押し付ける時間が長くなる臀部(仙骨)部分に発生することが多いことから、圧迫が加わりながらずれ(こすれ)を生じやすい骨の出っ張り部分に起こるリスクが高まります。
擦れの状態と、炎症の程度を見ながら、デブリードマンを行うタイミングを計る事となります。

 
●炎症の鎮静化とデブリードマン
身体の骨が突出している部分といえば関節。姿勢を一定時間同じに保ったままにしていると、膝や肘、くるぶし、左右の骨盤などにベッドの面や車いすの座面が当たり、褥瘡を起こしやすくなります。
皮膚の組織が壊死し、固く黒色化している場合、そのまま除去を進めると、周辺の皮膚組織が欠損したり、感染リスクを高めることになります。
脂肪層や筋肉層が厚い部分であれば、その下の組織深くに膿が溜まって腫れや熱っぽさを感じることがありますが、関節部分は皮膚層と骨が近く、腱や筋膜が感染に至る時間が短くなります。
腱や筋膜は細菌が付着しやすく、肉芽の増生が阻害されることもあるので注意が必要です。

 
〇関節部のデブリードマン
関節部分は、皮膚の伸びやずれで褥瘡が起こりやすく、擦れや体圧を受けやすいため、肉芽や新たな皮膚層の形成がスムーズに行われないことが多いです。
一般的に、褥瘡が起こった部分の壊死細胞や膿は、きれいに取り除く為の処置を要します。筋膜や腱に炎症や感染が進んでいる場合は、完全にとり切れないまでも、機械的洗浄によるデブリードマンをしっかり行い、感染を徹底して予防することが大切です。
洗浄と機械的デブリードマンがきちんと実施されていれば、良好な肉芽細胞が増えて褥瘡創面を覆い、「きれいな創」になるでしょう。

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