創傷前に寝たきりの生活を見直す 床ずれのケアは念入りに

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床ずれは、毎日のケアの積み重ねで未然に予防することができます。予防ケアの方法は一つではなく、寝たきりで過ごす患者の生活をトータルで管理し、経過を細かく見ることが肝心です。


○寝たきりの姿勢で圧迫する箇所を除圧
終始寝たきりの状態は、全身の骨突出部分に体圧がかかりやすくなります。適度に体位変換をして、一点に集中する圧力を逃がし、常に全身の皮膚状態と血行を良くしておくように心がける必要があります。
在宅看護でも、病院看護と同様に体圧分散マットレスを使用して、関節部分には枕やクッションを用い、堅いマットレスに直接皮膚が当たったり、こすれたりする条件を回避するようにします。
また、体位変換をする時に、直接加圧がかかる部位が擦れないように注意するポイントがあります。ケアする介助人の手や衣服が皮膚に直接触れると、ちょっとした摩擦で皮膚が破れたり傷ついたりするので、手のひらで強く四肢を握って持ちあげたり、衣服をひっぱったりしないように気を付けましょう。

 
○隙間を作らずに体を預けられるマットレスを
寝心地が悪い姿勢に体位変換すると、患者は無意識に楽な姿勢を取ろうとします。しかし、麻痺などがあり充分な可動域がない場合、体をずらすようにして姿勢を変える傾向があります。
この時にマットレスや衣類と皮膚の間にずれ力が働くため、擦れて創傷しやすくなります。皮膚乾燥が表れやすい高齢者の場合、皮膚にハリがなく皮下脂肪や筋肉量も少なくなっています。
骨と皮膚層が近いため、骨の突出部分でなくても皮膚が擦れやすく、褥瘡の発症が起こりやすいのです。
体と寝具の間に隙間があると、ずれ力が大きくなり体圧も高くなります。寝ている姿勢でゆったりと体を預けることができるように、隙間を無くす工夫が必要です。

 
○栄養状態にも注意が必要
寝たきりの患者は、体を充分に動かさないため体力の消耗が少なく、食事の量が減る傾向にあります。充分な栄養を食事で補給することができなくなるので、基礎体力そのものが低下し、体重が減少し始めます。
栄養に偏りがある、または低栄養状態になると、体の免疫力も低下ししてしまうため、小さな傷から細菌感染を起こしやすくなります。また、創傷箇所の治るスピードが遅くなり、褥瘡の進行スピードのほうが早く、皮膚の深部にまで創傷が進んでしまう事に繋がります。
寝たきりの人の褥瘡ケアは、単に体位を変えて圧迫を防ぐだけでは不十分です。体そのものの免疫機能を高めるために栄養状態を管理し、ずれ力が生じない環境づくりに取り組みましょう。

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