褥瘡を予防するための栄養介入

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日々の褥瘡ケアとして代表的なのは、体位変換や体圧分散マットレスを導入して、体の圧迫箇所を定期的に除圧することです。ただし、褥瘡は様々な原因が重なって発症します。

頻繁に体位変換を行っていても、回避できないのはそのためです。特に高齢者の場合、老化による皮膚の乾燥や脂肪量・筋肉量の低下が顕著で、成年や若年者よりも褥瘡リスクは上がると考えられています。
そこで、主に高齢者の栄養評価と栄養介入という視点から、褥瘡を予防する方法を見てみましょう。

 
○褥瘡予防と治療に必要な栄養素補給
高齢者は活動レベルが加齢によって低下します。基礎代謝や身体能力そのものが低下してくるため、動きが緩慢になり、活動によってエネルギーを消費する量も減少します。そのため、食が細くなり、経口摂取で十分な栄養を補うことが難しくなってきます。
褥瘡の治療と予防には、十分な栄養が必要です。しかし、栄養投与を計画的に行っても、なかなか効果がみられないというケースもあります。その時に参考にしたいのが、「徐脂肪体重(LBM)」です。

 
●徐脂肪体重と生命維持
単純に血流を促すような栄養を摂取しても、その成分が十分に生かされず、他の栄養を合わせてとらねばならないものもあります。機能的・効果的に栄養が体で機能しているかどうかを総合的に考える必要がありそうです。
人間は、徐脂肪体重(LBM)が30パーセント以上失われると、致死的状態だといわれています。
たとえば、筋肉量の低下や内臓タンパクの減少、創傷治癒の遅延、臓器障害、生体適用障害が進行しているとき、死に向かっていると考えてもよいでしょう。

 
●褥瘡予防には体全体の栄養管理を 
健常時を100%と考えて、その減少率を判断します。LBM減少率が30パーセント以上であれば、経過を丁寧に観察していても褥瘡を簡単に引き起こし、悪化させることになります。
そして、生命が脅かされる状態では、経口摂取や人工的な栄養投与を行っても、生命維持活動に必要な栄養(主にタンパク質)が使われてしまいます。健常な状態と比べて必要とされる栄養分を多く摂取し、創傷箇所や、褥瘡発症リスクが高い場所の予防につなげるための栄養を体に備えさせることが大切なのです。

 
○褥瘡の予防とタンパク質摂取
褥瘡の予防と治療には、LBMの維持と改善をしながら良質なタンパク質を摂取することが重要です。ただ、高齢者の場合は、現状の体に耐えられる栄養バランスがあります。
老化のために内臓機能が低下しているところに、集中的なタンパク質摂取をすると、(腎臓等で)負担がかかり他の臓器を傷める可能性もあります。
ただ、良質なたんぱく質をバランスよく摂取すると、体内栄養素と結合して筋肉量を増やすことができます。筋肉量が増えると代謝も上がり、更に多くの栄養分を体で分解し貯えることができるようになります。
体を動かしやすくなり、血流改善にも効果が期待できます。
栄養管理は効果が見えにくいですが、続けることでじわじわとその努力が見えてくるでしょう。長期的な栄養観察を行い、褥瘡予防と身体機能の維持を見守りましょう。

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