褥瘡予防を意識した看護計画の必要性

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褥瘡は、入院患者や寝たきりで過ごす高齢者にとって、いつ何時も発生するリスクが高い皮膚疾患です。寝た姿勢のまま長い時間を過ごすと、体重による加圧とずれ力によって、皮膚の血流不足がおこり、また皮膚の乾燥が表皮を傷つけることから褥瘡は簡単に発生します。
想定はしていても、確実に予防ができるとは限りません。また、一度褥瘡を発症させてしまうと、経過観察と処置に継続的な時間がかかるうえ、完治してしまうまでに患者にも大きな負担となります。予防するためには、看護計画の中にきちんとケア方法を明示し、着実にそれを実行していくことが大切です。


○褥瘡予防に必要な体位変換
一定時間ごとに損傷部位や手術後の処置を行う患者には、併せて全身観察と痛みを感じる箇所の確認を看護計画に立案しておきましょう。しびれや圧迫による骨突出箇所の痛みは、褥瘡を引き起こす手前(または初期)の状態と思っても良いでしょう。

 
●体位変換で圧迫と痛みを緩和する
体位変換は、褥瘡予防で最も直接的な処置と言えます。圧迫箇所の血流阻害を緩和して、皮膚表面や皮下細胞の壊死を防ぎましょう。
二時間ごとの体位変換が望ましいというのは、一般論としていわれていますが、二時間おきの体位変換を長期療養の入院患者全員に行うのは、現実的に難しいという施設もあるでしょう。そこで、集中的な圧迫を緩和するために、体圧分散寝具を可能な限り使用し、看護師と患者の負担をできるだけ軽減することも大切です。
ただし、時間的めやすや寝具に頼らず、個人差を考慮して、日頃から細やかな観察を行うように計画しておくのがベストです。

 
○皮膚を柔らかくして褥瘡ができにくくする
特に高齢者は、皮膚の角層にある保湿成分が加齢に伴って減少し、皮膚の乾燥状態が褥瘡のもととなることが多くあります。乾燥して硬くなった皮膚は、少しの摩擦や圧迫で壊れやすく、また皮膚の細かな割れ(亀裂)から刺激を受けやすいため、表皮が傷つきやすくなります。

 
●保湿性のあるクリームでマッサージ
看護計画では、その患者にあわせたケアの方法や処置を考えます。年齢や外傷・手術痕の場所と処置の経過、体調や期限、食事など、入院生活の記録すべてが褥瘡予防のための判断材料となります。コンディションが悪くなれば食欲も落ち、機嫌も悪くなるでしょう。傷の経過が良くなければ、さらに感染をおこしたり、痛みが増幅します。
痛みや不調を感じると、体はリラックスした状態よりも硬直、緊張して全身の血流も悪くなります。そこで、患者の状態を見つつ、皮膚の保湿と柔軟性を上げるために保湿クリームを用いてマッサージをするのも良いでしょう。
皮膚状態が改善し、人の手で触れるケアによってリラックス効果も高まります。しかし、気の進まない患者には無理せず、丁寧なスキンケアを心がけましょう。

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