- 2018-3-16
- 褥瘡(床ずれ)
健康な体で、日々十分な運動をすることができる人は、体内に栄養を取り込む食事量を十分に摂取することができます。
体力が消耗すれば、消費した分のカロリーと栄養を食事で摂取するでしょう。
しかし、疾患の治療や体の老化によって、十分な運動ができない人は、運動を伴わない生活のなかで、食欲を引き出すのが難しくなります。
〇寝たきりの人もカロリーが必要
人間は、運動をすると体内熱量(カロリー)を消費します。
消費したカロリーは、熱量に変換することができる糖質や脂質、組織形成に活用するたんぱく源を含む毎日の食事で補います。
寝たきりの人は運動するシーンが少なくなりますが、基礎代謝によってカロリーを消費します。
そのため、栄養素やカロリーは一定以上必要になるのです。
●基礎代謝によるカロリーの消耗
人間は、体を動かさずにじっとしていても代謝によってエネルギーを消耗します。
これは、人それぞれ、体格や年齢によって差はありますが、人が生命維持をするために無意識に行う活動です。
人の身体が消費するエネルギーのうち、実に70パーセントが基礎代謝消費といわれます。運動や活動をすることで多くのカロリーを消費している様に思われがちですが、実はそうではありません。
よって、基礎代謝で消費するエネルギーを下回るような栄養・カロリー摂取状態は、人間の生命活動そのものが脅かされる危険があるという事になります。
●寝たきりの人こそたんぱく質が必要
十分なカロリー摂取を繰り返していても、その栄養バランスが悪ければ、消費カロリーとのバランスを崩し、摂取した栄養を十分に生かしきれないままになってしまいます。
偏った栄養と過剰なカロリー摂取によって肥満体質になれば、血流が悪くなり、筋力が低下して、さらに離床が遠のいてしまうことになります。
基礎代謝の40%は、筋肉で消費されています。
筋肉組織の生成に必要な、たんぱく質の摂取が十分ではなくなると、筋肉が減少します。
しかし、基礎代謝によって消費するカロリーに摂取が追い付かなくなると、体内ではタンパク質や脂質からブドウ糖を生成し、生命維持を続けるためのカロリーを補おうとします。
この身体状態のことを「異化作用」といいます。
〇消費カロリーと栄養素摂取が難しいなら
人間としての本来の活動を考慮すると、栄養や食事は経口摂取するのが望ましいでしょう。
必要だからという理由だけで、安易にあらゆる設備や医療装具を使用するのは、人間の尊厳にも関わります。
しかし、栄養を食事から十分に賄えない場合は、栄養補助機能を必要に応じて活用し、寝たきりの人に、可能な限り人間らしく生活することを第一に介助を続けることが大切でしょう。