- 2018-5-28
- 褥瘡(床ずれ)
床ずれの予防と発症リスクを想定した場合、どんな体勢で一日を過ごすかによって状況や好発部位は人それぞれ異なります。特に、寝たきりの患者さんを介護する時、身体の可動域や残存機能によって、局所で起こる褥瘡リスクは全く違います。
座った姿勢を長く維持することが出来る人と、相ではない人の褥瘡好発部位で、決定的に違うのは頭部へのケアでしょう。
○頭部圧迫と床ずれ 寝たきりの患者ケア
健常な人や、下半身にマヒや疾患があり座位で過ごす時間が長い人は、日常生活の範囲内で頭部の床ずれに注視することはそれほどないでしょう。しかし、寝たきりの状態にある人は、例えば肩や腰部、臀部、踵部と同じく、頭部にずれや体圧が集中しやすいという事を知っておきましょう。
○上半身の除圧と褥瘡に繋がる患者の動き
体圧を分散させることで褥瘡の予防にある程度の効果はありますが、頭部や肩甲骨といった上半身の骨突出部は、除圧効果が高く、しかも大きく体位を変えなくても圧迫を取り除く方法を考えて行かねばなりません。
寝たきりの人に対して、こまめに除圧を行いつつずれ力を極力生じさせない体位を、介助する側が提供していく必要があります。その姿勢に慣れない・違和感ある患者さんは、可動部位を使ってどうにか体勢を楽にしようとして、結果的に細かいずれが重なり、床ずれを起こしやすくなります。
○快適な姿勢と頭部の圧力
短い時間でも、座位を取ることができれば頭部の除圧に大きな効果が得られます。ただし、筋肉の痩せや骨損傷、神経マヒなどの疾患を伴った患者さんは、座った姿勢から傾きが生じ、臀部や腕、肩に擦れやずれが起こります。しっかりと骨盤を安定させるために、腰と大腿部に沿ってクッションやピローをあてがいましょう。
寝たままの状態でいる間は、右または左に向いた方が楽に感じるか、仰臥位に近い姿勢で過ごした方が落ち着くか、などの患者が好む姿勢に近づけるのが理想です。頭の位置をこまめに調整しようとして、後頭部をこするように動かすことで後頭部の湾曲した箇所で頭皮にキズができてしまいます。その後、寝たきりの人は特に、枕やマットレスと接地する時間が長くなるため、完治せずに床ずれが慢性化するリスクも高まります。
○頭部の床ずれを慢性化させないために
体圧分散機能のあるピローやクッションを使い、後頭部の除圧を中心にポジショニングを検討しましょう。ただ、頭部の除圧と併せて、耳や肩にかかる圧や触れる繊維にも注意が必要です。首の後にできる隙間をしっかり埋めて、頭部全体を柔らかく覆うように保護すると、肩の突出骨に掛かる負担を軽減する事ができます。