- 2017-4-14
- 褥瘡(床ずれ)
褥瘡が発生する原因として大きい要因は「局部の圧迫」と考えられています。圧迫が続く・ずれ力が生じることによって皮下組織が壊れ、表面的な外傷がないまま皮膚の下で創部が損傷していくため、傷が深部に及びやすくなる危険な症状です。
ただ、局部の圧迫に注意するだけでは褥瘡の予防に足りません。皮膚の状態を健康にた保ち、刺激に耐えられる皮膚を形成することで発症リスクを抑えることができます。また褥瘡が発生したのちも清潔に保ち、進行させない取り組みを考えなければなりません。
〇褥瘡を起こさないためのスキンケア
体に十分な栄養が蓄えられていれば、内臓機能や関節、皮膚の健康状態を保ちやすくなりますが、体を動かすことが難しい場合、十分な運動をすることができず、栄養の経口摂取量が減少してきます。
体を動かす筋肉はもちろん、刺激からのバリアとして役割を担う皮膚の状態も悪くなってします。
●スキンケアの基本は血流を促すこと
栄養の偏りや低栄養状態になると、活動維持に欠かせないたんぱく質を効果的に体内に取り込むことが難しくなります。たんぱく質は、皮膚形成にはとても重要な成分です。
そして栄養素を皮膚に送るために必要なのが十分な血流。栄養成分は血液に乗って全身に運ばれるため、血液の流れが悪ければ必要な栄養素が届けられず、皮膚の乾燥や形成不良が起こりやすくなります。
●褥瘡予防と血流促進 スキンケアを行う注意点
血行を良くするために、マッサージを思いつく人もいるでしょう。確かに、動かしづらい部分を積極的に稼働させると血行が良くなりますね。コリや痛みを感じる部分のマッサージが気持ちよく感じるのは、滞留した血液の循環がよくなり、固まってしまった部分がほぐれるためです。
しかし、褥瘡リスクが高い患者の皮膚は、乾燥が進みがちで外的刺激に対して非常に弱くなっています。皮膚が固く、水分量が少ないために乾燥している場合は、まず皮膚そのものに潤いを与えなければなりません。水分を含む皮膚は弾力性が増し、しなやかになるので、ずれ力や刺激にも強くなります。
十分な栄養を摂取できない患者には、栄養補助成分をとりいれたり、入浴後に保湿クリームを塗布して水分蒸発を防ぐスキンケアが必要です。
●スキンケアで乾燥予防 褥瘡を進行させないために
入浴後やおむつ交換の際に、保湿性の高いクリームを優しく塗布しておくと、皮膚の水分を保ちながら血行を促進させることができます。保湿剤を擦りこむようなマッサージは、褥瘡発生原因のずれ力と近いため厳禁です。皮膚表面に優しく置くような気持で愛護的に塗布しましょう。
皮膚が汚れた状態で保湿剤を塗ると、汚れがそのまま皮膚にとどまりやすくなりこれが刺激になってしまいます。皮膚を清潔に保ち、皮脂をとり過ぎない洗浄剤を使いながら汚れを取り除くようにしましょう。
褥瘡は様々な要因から発症します。一つずつの原因を取り除くことが大切です。スキンケアを継続的に行い、同時にケア時の全身観察と経過を見ながら、発症予防につとめましょう。