敗血症の病態 関連図から予想し早期対策を

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局所感染が起因して、全身感染症状が現れると、いち早くウイルスを特定して抗菌しなければいけません。
炎症反応を鎮める投薬や措置は、直接的な効果がありません。ウイルスに効く抗生薬をどれだけはやく特定できるかが、予後・治癒に大きくかかわります。


〇全身の炎症反応と敗血症
血中に感染源が侵入して全身に廻り、発熱や頻脈、血圧低下などの症状が起こり、肝臓や腎臓などの臓器不全を起こす恐れがある全身感染症状にはいいくつかの種類とそれぞれの問題があります。

 
●感染源の特定が難しい
感染がもとで全身に影響が出る敗血症の細菌の例は「菌血症」「寄生虫血症」「ウイルス血症」など、血液に侵入する菌です。
血液が細菌に侵される前に、すでに体のどこかが感染で化膿したり、疼痛があったり自覚症状が
現れていた可能性があります。しかし、その感染を見逃してしまうような身体状態(加齢による感覚の低下やマヒ)の場合、敗血症に陥る危険が高まります。
その感染兆候に早く気づき、生活習慣や疾病の経過を振り返りながら、効果が期待できる薬を一刻も早く投与するように努めましょう。

 
〇SIRSと敗血症
全身症状を引き起こす感染症と、SIRS(全身性炎症反応症候群)の両方に当てはまるのが敗血症です。病態の相関図で、敗血症が双方の条件を満たす重複部分にあたります。
炎症反応が現れ、その病態は血中感染源によるものであれば、敗血症の診断をします。ただ、血液感染が原因ではない炎症反応かどうか、治療の方法や予後観察を適切にするためにきちんと見極めねばなりません。

 
●全身性炎症反応症候群とは
敗血症は感染が原因ですが、SIRS(全身性炎症反応症候群)は違います。病態は敗血症とほぼ同じで、その原因が「炎症性サイトカイン」によるものと特定されています。
体の免疫機能によって血中に免疫細胞を放出して、炎症が起こります。ただ炎症が起こる原因は感染のほかにも、外傷や出血性ショック、熱傷、膵炎などがあります。

 
●消炎と病態回復のために行う処置は
感染源を特定しても、全身性炎症反応症候群は症状緩和を見込めません。SIRSの場合、原疾患や障害を起こした臓器や組織の治療と併せて、高サイトカイン血症を鎮めなければいけません。
高サイトカイン血症は、ステロイド系抗炎症薬が有効なケースが多いです。
ただし、ステロイドや抗炎症性サイトカインで免疫不全の状態になれば、正常な免疫機能が阻害されてしまいます。
敗血症の治療、またはSIRSの治療と診断を行う際は、根拠に基づいて抗菌薬やステロイドを投薬します。投薬や経過観察は、自己判断してはいけません。医師の診断をきちんと仰ぎ、適切に行いましょう。

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