ただれの症状に適した薬は 上皮化と治癒に向けたケア

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入院患者や、長らく寝たきりの姿勢を取り続けなければいけないマヒを伴う車いす患者の場合、少し病状や不調が長引いただけで、褥瘡を発生しやすいリスクにさらされています。適切な処置を行って、早く治癒するのが先決ですが、褥瘡は一見しただけではその進行程度や深度が図れない危険な症状であることを知っておくべきでしょう。幸いにして、浅い創傷の時は、市販されている外用薬などを使ってケアすることも可能です。適切な薬を用いて、上皮の生成が早く進み完治に迎えるように、創傷部分の経過観察を行いながら、上皮を作る環境を整えてあげましょう。

○褥瘡が皮膚層損傷でとどまっている場合

びらん・ただれと言われる表層部分の褥瘡の場合は、経過の観察を注意深く行い、深部に広がらないように抗潰瘍治療用外用薬を用いるのが一般的です。外傷から侵入する細菌やかびをブロックし、潰瘍を小さくしていく効果がある薬を併用しながら治療を行いますが、創傷治癒に向けたケアや知識、そして抗潰瘍治療用の外用薬の特性を充分に理解して、創に一番効果があると思われる薬の効用を最大限に引き出すための処置を合わせて行う必要があります。

●多目的効果のある薬との併用

外的刺激の侵入を抑え、菌の侵入や乾燥を防ぐバリアのような効果を期待する白色ワセリンは、発赤や紫班、水疱のケアに効くとされており、乾燥を防ぐ表皮ケアには非常に高い頻度で使われています。しかし、このワセリン自身に傷を治すための効用はありません。びらんや浅い潰瘍をひきおこした状態の創傷には、酸化亜鉛やリゾチーム塩酸塩やブクラデシンナトリウム等をもちいます。複数の外用薬を混合して、多目的に使用することがありますが、薬の成分が混ざることで整合性にかける組み合わせがあるのも事実です。混合した薬がむしろ配合変化を起こして、その効用効果を下げてしまう事もあります。薬を併用・混合する時には充分に注意して使用しなければなりません。

○浅い褥瘡は上皮化を早めるケアを

創傷治癒を促すためには皮膚の生成が何より先決です。褥瘡が皮膚より深部に至ると肉芽組織が表面化し、治療段階が進みます。皮膚との間にポケットが生じ、創縁との表皮化バランスが揃わない時は、患部の傷の治りそのものの時間が更に長くなります。ただれの段階では、ハイドロコロイドやポリウレタンフォームのシートタイプなど、ドレッシング材を合わせて使いながら、外用薬のアズレン、塩化リゾチームを用いて観察を続けます。創面の滲出液を吸収しながら上皮化を有利に進めるケアを行い、表皮化細胞を活性化させる治療が効果的です。

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