敗血症の治療とリハビリテーションの進め方について

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敗血症は、局所の創傷から細菌等感染し、感染原因が元で全身反応をきたし最悪の場合死に至るという重篤な症状を引き起こします。

原因となる感染症は、細菌に限りません。ウイルスや真菌、寄生虫によるものもあります。特に高齢者は、身体機能や免疫力が低下しやすいため、感染力の強さに関わらず敗血症を引き起こしやすいとされています。

○敗血症と慢性疾患の関係
敗血症は起こりやすい人と起こりにくい人がいます。敗血症を引き起こしやすい人は、糖尿病や腎不全などの慢性疾患、また悪性腫瘍などの疾病を患っている人です。血液の循環が正常に行われておらず、体に毒素をためやすくなる傾向がある疾患の場合に、敗血症が深刻化する可能性が高まると言えそうです。

●合併症への心配
糖尿病はその病気自体が、さまざまな部位との合併症を引き起こしやすいという特徴があります。感染した血液が全身をめぐることで、さまざまな臓器へも悪影響を及ぼすことから、敗血症の治療と経過観察では、臓器障害が起こっていないかを確認しながら抗菌薬の全身投与をおこなう必要性があります。

臓器障害の他にも、呼吸不全や肝機能障害、中枢神経障害も起こるという報告があります。峠を越えてリハビリを行う際、中枢神経への障害や四肢マヒが障壁となる場面もあります。

○敗血症重篤化と集中治療 麻痺のリハビリ
敗血症の諸症状には、異常な発熱または体温低下、呼吸不全、頻呼吸などがあります。本来なら、特定の原因となる細菌を特定するための血液培養陽性検査を行って、抗菌薬を複数併用しながら適切に処置することが理想ですが、敗血症はその検査時間を惜しんでも早急に救急治療を始めなければならない程重篤な症状です。

重症の場合は集中治療室で治療を行う事になります。近年、この集中治療室(ICU)で処置した重症患者に四肢麻痺が生じるという「ICUAW」を合併する人は、敗血症患者に多いということが分かってきました。

集中治療室での療養が長ければ、その分筋力も低下しやすくなります。加えて四肢麻痺が表れ易いとなると、敗血症から回復しても、通常の生活を送ることができるレベルの身体機能が失われてしまう可能性があります。

敗血症を患うと、感染によって全身炎症が起こるため、予後の栄養状態が悪くなりやすいことから、体力回復にも時間がかかります。ICUAWが長くなればなるほど、後遺症を残すリスクも高まり、身体機能や認知機能が低下することで更に予後不良が長引きます。

敗血症が落ち着いたら、なるべく早期にリハビリを開始して長期的なフォロー・介入を以って患者をサポートし、身体機能を高めるケアが必要です。

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