深刻な褥瘡から敗血症に進行させない 抗菌薬の使用

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褥瘡の程度を見ながら、損傷部の感染状況をきちんと見極めて、効果的な薬の使用と処置を継続して行うことで、良好に回復させることができます。
例えば、感染している褥瘡に、保存的効果や湿潤コントロール効果のある外用薬を塗布しても、傷はよくなることはありません。感染源に効果のある薬と、状態を見ながら抗菌薬を使用して、まず感染創の状態を脱することが大切です。


〇局所感染から全身感染に陥る危険
体の一部が激しく損傷した褥瘡は、どうにかその部分の傷をケアして、完治させることに注視しがちです。しかし褥瘡は、単なる外傷性傷の治療とは違い、回復に至るまでの処置次第では、状態がひどくなったように見えたり、快方しているように見えて、実は傷が悪化していることもあります。

 
●抗菌薬の使用例 腱への損傷
行うべき治療と処置を、劣りなく施していても、患者の健康状態や稼働域、栄養摂取の状態など、褥瘡を完治させるためには多くの要素が絡んでいるので、なかなか思うようによくならないこともあります。
腱やじん帯に達した損傷で、肉芽の色も黄色い感染部分が多い場合や、発赤部分が明らかなときは、適切な抗生剤や抗菌薬の全身投与が必要になるケースが多いです。
腱にまで感染が広がっているときは、局所ケアはもちろんですが、全身の感染制御をいち早くスタートするべきでしょう。全身感染が起こると、血液が感染菌で侵されてしまい、敗血症を起こすリスクが高まります。

 
〇抗菌薬の全身投与をどう決めるか
敗血症のような重症状態では、循環動態の低下や多臓器不全を引き起こし、予後も経過も遅く、回復に時間がかかることになります。
まずは、感染源をいち早く特定することが最優先です。感染の可能性がある起炎菌に効果がある抗菌薬を見つけることを第一に考えます。
感受性試験や血液培養検査を用いて感染症の元を探りますが、不用意に薬を乱用すると、耐性菌を生み出す可能性もありますので、慎重に抗菌薬を変更していくようにします。
敗血症は、褥瘡患者に限らず、局所感染症を元に全身に広がります。体温の高下や呼吸・脈拍にも変調が現れ、さらにひどくなると意識障害に至る危険な状態になりかねません。
血液培養検査のほかにも、血液成分のなかでも炎症反応を判断する数値(CRP・白血球数)に、注目しておきます。もし多臓器の異常が起こっている場合には、炎症を示す数値に大きな変動があるはずです。
全身感染をおこさいように、局所の傷をきちんとケアして、特にマヒのある患者や、免疫力の低い高齢者、乳幼児には注意をするようにしましょう。

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