- 2017-8-7
- 褥瘡(床ずれ)
床ずれの治療には、様々な苦痛が伴います。はれぼったさや熱を持った患部の疼き、体位変換の回数や解除の頻度にストレスを感じることもあるでしょう。深度によっては疼痛や、発熱なども起こります。
入院中や経過観察の途中で、このような辛さを和らげる楽しみの一つが食事です。思うように体を動かすことが出来ない状態の患者にとっては唯一の楽しみとも言えるでしょう。
栄養を必要十分に摂取できれば、床ずれの治りも早くなり、床ずれそのものを予防することにも繋がります。
○床ずれ患者が摂取しやすい食事を
床ずれの治療に欠かせない栄養素は、タンパク質です。但し、高齢者や脊髄損傷などによって、嚥下能力に問題がある患者は、肉や魚などの高タンパク源を食事から摂取するのが難しくなります。
飲み込む力とかむ(咀嚼)力は、経口摂取の為に必要な条件です。この機能が衰えている場合は、飲み込みやすいようにすりつぶしたり、食材を小さく刻んだりして、食事にストレスを感じさせない配慮をしましょう。
○食ベられる量を栄養素摂取量を考えて
口から食べ物を体内に取り入れるだけでは、栄養素が偏ってしまいがちです。入院食で栄養管理をしていても、体調や加齢、運動不足によって食欲が大きく減退する事があります。
食べ込む量が減れば、その分栄養素も不足してしまいますので、十分に経口摂取ができない栄養は、補助食品などを利用して補いましょう。
○低栄養状態を招かない食事を心がける
高齢者は、十分な食欲と食事量に欠けることが多いですが、無理に食べさせる事は患者のストレスとなってしまいます。
とはいっても、身体を動かす力となる炭水化物(糖質)が極端に不足すると、タンパク質を摂取しても体の栄養素として取り込むことが出来ない状態(低栄養状態)に陥ってしまいます。
これは、本能的に延命させようとする人間の身体機能で、飢餓状態と同じです。タンパク質成分が体に無ければ、皮膚や組織の再生や細胞の成長がストップしてしまうので、床ずれが長引き、更に治療効果が得られずに重症化するリスクをはらんでいます。
細胞形成に必要なタンパク質と、糖質、脂質のバランスを、床ずれや患者の身体状態に合わせて整えてあげることが重要です。
○楽しみを感じられる高カロリー要素も
入院患者の食事は、味が薄く美味しくない…というイメージもあるでしょう。食事そのものの量が減っている患者や、食べることに楽しみを感じられないような身体状態の人には、ゼリーやおまんじゅう、チョコレートなど嗜好食材も準備しておきましょう。
食事自体の量を減らしてしまうほどに嗜好品ばかり食べては問題ですが、ちょっとしたご褒美感覚で、消化に負担とならない程度に、好きな食べ物やおやつを取り入れましょう。