褥創ケアに使う治療薬の選び方と使い方ポイント

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褥創の治療をするときには、その傷口(創傷部分)に有効な薬を用います。薬にはたくさんの種類がありますが、その効能や機能はもちろんそれぞれに異なりますし、創の状態によっては無効、または逆効果に働く薬もあります。
褥創のレベルや創の状態に合わせて、適時必要な効能を与えてあげることが、治療薬選びで最も重要なポイントになります。


○褥創治療薬の基礎
治療薬の中には、一般的に知られる(イメージされる)軟膏タイプの外用薬のほかにも、噴霧剤やシート剤、散剤などがあります。
これらをバランスよく併用したり、重用したりして効果的な治療を行うのが通例です。

●軟膏の基剤要素と褥創治療
褥瘡の治療に欠かせないのが適正な湿潤環境を保つこと。この湿潤調製を行うために、軟膏の基剤は欠かせません。
そして、褥瘡治療にはこの軟膏があれば大丈夫。という特効薬があるわけでもありません。
基剤には保湿性と補水性、吸水性の3つの機能があります。この三大要素を創の状態に合わせて主薬を選ぶことが大切です。

 
○治療の目安薬 エキスパートFブレンド
褥瘡は、常にその傷の状態が変化していきます。湿潤環境が適正に保たれており、感染や汚染がなく新しい肉芽細胞が育っていくのが理想です。
創の状態に合わせて、また滲出液の具合にあわせて、製剤学的に検証されている効果的な調合薬を活用しましょう。エキスパートFブレンド(ブレンド軟膏)と呼ばれる基剤は大変重宝します。

●湿潤環境に合わせて治療薬を選択
ブレンド軟膏は、そのくみあわせによってもたらす効果基準を湿潤状態としています。仮にドライな状態なら水分含有率の高いオルセノン軟膏(70%)やゲーベンクリーム(65%)を調合したブレンドを使用し、創の湿潤レベルを上げて新たな細胞形成を促します。
逆に、ウエットの場合では、シート剤やフィルムで覆った創部分から滲出液があふれて傷口を汚し、衛生的ではない上に、周辺が浸軟してしまって創状態が回復する妨げになってしまいます。
このときは、水分吸収機能があるユーパスタ軟膏(76%)や、程度の激しい浸軟にはデブリサンペースト(200%)、カデックス軟膏(370%)などを用います。
様々な軟膏がありますが、それぞれの基剤が持つ水分含有率と水分吸収率の割合を足し引きして調合することで、理想の含有率や吸収率を調整することができます。
既存の薬剤では対応できなくても、エキスパートFブレンドの軟膏組み合わせ例に沿って、必要に応じた水分コントロールを行うことができます。

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