床ずれの治療に用いられる軟膏の目的と種類

HOTE86_makuragyu15234016_TP_V

床ずれは、その経過を見て原因となる環境を整えながら、症状がひどくならないために圧迫と血流阻害となる条件を取り除かなければなりません。
軽微な床ずれであれば、外用薬を用いずに経過観察のみで完治を目指すこともありますが、多くの場合、傷口の保護や炎症を抑えるための薬剤を使用します。
床ずれの程度や深さにあわせて、軟膏を調合または併用して、床ずれの治癒を目指します。


●床ずれで損傷した表皮の形成に使う軟膏
床ずれは、寝たきりや同じ姿勢を長く取り続ける合間に起こる、ずれ力によって皮膚が引っ張られて損傷し、体圧が加わることで表皮を傷つけます。
特に初期段階の床ずれは、身体のバリア機能を担う表皮の欠損を防ぐことが大切です。
表皮形成に有効な軟膏には、リフラップ軟膏やアクトシン軟膏、プロスタンディン軟膏などがあります。

 
●殺菌消毒に有効な軟膏
床ずれがおこると、その傷部分の感染や汚染による患部の悪化を防がねばなりません。床ずれには洗浄が必須ですが、菌の繁殖を抑える殺菌作用がある軟膏を処方されることがよくあります。
カデックス軟膏やユーパスタコーワ軟膏、ヨードコート軟膏が一般的で、その患部を保護するためにヨードホルムガーゼを用いることもあります。

 
●炎症を鎮める軟膏
傷口が赤くはれたり、赤斑点が出たりして圧迫の兆候を現しているときには、その炎症を抑える薬を用います。
床ずれの治療薬として、患部に塗布する軟膏では、亜鉛華軟膏やアズノール軟膏を用いるケースが多いです。

 
●滲出液コントロールに用いる軟膏
床ずれの症状を改善するために必要なのは、湿潤を保つことが第一です。乾燥した状態では健全な表皮や肉芽細胞が育ちませんが、滲出液が多すぎて浸潤してしまうと創面がふやけてしまいます。そのため、創傷部分を適度な状態に保つために滲出液量の調整を行います。
カデックス軟膏やデブリサンペースト、ヨードコート軟膏、ユーパスタコーワ軟膏を処方して、湿潤コントロールをしながら創面の清浄化を行います。

 
●壊死細胞の除去が目的の軟膏
皮膚が黒化して硬くなった壊死組織があると、創の完治が難しくなります。壊死組織の除去を行って新たな皮膚細胞の再生を図りますが、創の状態によって除去しないほうが良い場合もあります。
壊死細胞周辺の硬化を取り除いて浸潤させてから、壊死細胞を剥離するのが通例です。ゲーベンクリーム、プロメライン軟膏、ヨードコート、カデックス軟膏などを重用して、適切な割合で効果を引き出します。
床ずれ治療に用いる軟膏は、一種類で効果が十分な特効薬ではありません。条件や目的に応じて複数の軟膏を取り合わせて使用します。
効果を引き出して、早く完治させるために、医師の診断と調合を守り、適時適切に使用するようにしましょう。

関連記事

ページ上部へ戻る