- 2017-10-11
- 褥瘡(床ずれ)
寝たきりの患者にとって、褥瘡の予防は常に気にかけておかねばなりません。福祉用具が充実し、ポジショニング、体位変換といった褥瘡の予防は、医療現場や在宅で導入されやすくなってきました。
しかし、患者自身の体を正常に保ちながら、褥瘡のケアを行っていかなければ、どれだけ補助用具を揃えても、健康維持に役立てることはできません。
そこで、褥瘡の予防を栄養管理の観点から取り組むために必要な、チェックポイントやリスク管理について考えてみましょう。
○患者の体と内的環境(栄養状態)を整える予防
褥瘡の予防をするときに、その姿勢や体圧、ずれ力が大きくかかわるのはもちろんのことですが、褥瘡を起こしにくい健康な体を作るための栄養管理を同時に行っていく必要があります。
●栄養摂取の環境と改善ポイント調査
患者自身の内的環境(脱水・嚥下障害等・栄養量不足)を整えて、栄養ケアを進めるために確認したいチェックポイントは以下の項目です。
1 食事は一人で食べることが多い
2 買い物や食事の支度を自分ですることができる
3 一日3回きちんと食事をとる
4 このごろ、食事の量が減ってきた(少なくなったと感じる)
5 このごろ、体重が減ってきた(減ってきたと感じる)
6 野菜は毎日食べている
7 晩酌を毎日する
8 薬は3種類以上飲んでいる
9 食べたりのんだりするときにむせる
10 入れ歯やかみ合わせに問題がある
この10項目をそれぞれ「はい」または「いいえ」で回答し、10個の回答で健康的でないと判断するほうの回答(1はい、2いいえ、3いいえ、4はい、5はい、6いいえ、7はい、8はい、9はい、10はい)をそれぞれ1点として合計を算出します。
0~1点なら「良好」、2~5点は「要観察」、6点以上なら「危険」とランク付けし、「要観察・危険」なら水分量の調査(第二段階調査)を行いましょう。
●水分量と栄養成分摂取調査
食事や飲み物の(入る水)と(出る水)の量を計算し、脱水の危険性を探るのが水分量調査です。食べるものや飲み物で一日に2リットル摂取し、皮膚呼吸や肺呼吸に使う活きるための水で約1リットル排出すると換算して、水分量が999ミリリットル以下の場合には「脱水」と判断します。
地域チーム医療や栄養食事療法を開始して、褥瘡の予防だけではなく、生命維持に必要なエネルギーや水分量をたもつ食事を摂るための取り組みを始めねばなりません。
ねたきりの生活が長くなると、活動シーンが少なくなるため、食べる量が減って筋力も衰え、低栄養状態になりやすいです。管理栄養士と連携して水分量や栄養成分摂取量を把握し、その原因を取り除く・適切な栄養補給をする手段を取り入れる生活を整えることが、褥瘡予防につながります。