褥瘡の創部が治るしくみを整える 必要な環境は

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体にできたキズを治療するためには、その状態に沿った治療環境を整えることが大切です。切開したような切り口が鋭い傷の場合は、傷口を縫合するなどの処置が必要となります。
しかし褥瘡は、一過性の外傷ではなく慢性損傷です。創傷を進行させない環境づくりと、長期的な経過観察を要します。そこで、治癒に向けて最も大切なのが「自己再生能力」です。


〇創部の完治を促す 自己再生能力
褥瘡は、その環境を変えないまま経過を見ていると、創部を表面で見るだけではわからない進行が傷の深い部分で起こります。
褥瘡を作らない生活環境を整えて、本来人間の体に備わっている自己再生力を上手く引き出すために、全身のケアも怠ってはいけません。

 
●創部治癒に働くサイトカイン
人間の体は、傷ついた場所があると、サイトカインという物質が活性化します。この物質は、体が健康な状態であれば盛んに働き、特別な処置をしなくても傷が治るように作用します。
しかし、体内栄養が不足していたり、体力が低下していたりすると、正常に機能せず活性が低下します。
処置や外用薬を塗布しても、傷の治りがよくない、経過が芳しくないといった場合に、その原因は全身の身体状態にあるかもしれません。

 
●創部の滲出液と褥瘡の具合
体に傷があると、その創部に滲出液がにじみます。水疱も滲出液の現れです。褥瘡の初期症状として発赤や水疱が現れるのは、わずかながら皮膚の下で皮下組織が壊れ、その修復をしようとして水疱がでると考えていいでしょう。
この滲出液には、先に述べたサイトカインが含まれています。炎症を抑えようとして活性したサイトカインが機能している証拠です。
創部の肉芽組織を形成して、傷を修復しようとする生体反応として滲出液がでますが、その量が多すぎると細胞が浸軟してしまいます。反対に少なすぎても創部を乾燥させ、褥瘡の治癒活動がストップしてしまいます。

 
〇乾燥を防いで褥瘡を治す 湿潤療法
かつては、傷ができた箇所を乾燥させてから痂疲(かひ:かさぶた)をはがすという治療方法もありました。ただ、この場合傷跡が残りやすく、皮膚が完全に再生される前に痂疲がはがれると、創部の一部が再び傷になることがあります。
褥瘡の創部組織を再生させて、可能な限り早くしかもきれいに完治させるためには、適度な湿りけ(湿潤状態)を保つための滲出液コントロールが非常に大切です。
ドレッシング材や保護シートで創部を覆い、乾燥を防ぎながら良好な肉芽細胞が育つ環境を整えましょう。

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