- 2018-1-19
- 褥瘡(床ずれ)
寝たきりの体勢で過ごす時間が長くなる要介護高齢者や、疾患治療のために長期療養を余儀なくされた入院患者は、自力で体を動かす機会が少なくなります。
すると、全身の筋肉や関節を使うシーンが少なくなり、血行が悪くなるだけでなく関節も硬くなりがちです。
○介助が必要な人の褥瘡予防に有効な入浴
体を思うように動かせない生活を続けている患者にとって、入浴は特別な時間になるでしょう。
体と気分をスッキリさせると同時に、湯に身体を浸して洗浄・マッサージをすると各部位の緊張を取り、無理なくほぐすことができます。
体を温めて筋肉や関節をほぐすことで、全身の血行を促進しながら清潔にし、更に肌に水分を与えて皮膚をやわらかくすることができるので、褥瘡の予防に適しています。
○入浴効果を手軽に得られる足浴のすすめ
全身を湯船につけて体を洗浄できるのがベストですが、特に、寝たきりの高齢者に行う入浴介助は簡単ではありません。そこでおすすめしたいのが足浴です。
座位をとれる患者や車椅子での移動が可能な高齢者は、ふくらはぎまでしっかりと湯に浸して足浴を行いましょう。自力移動ができない高齢者や、仰臥位が長くなる術後または固定具を装着している患者は、ベッドから起き上がらなくても実践できる足浴方法があります。
○足浴がもたらす効果 褥瘡ケアのポイント
足部の血行不良は、足のむくみや静脈瘤の原因となります。なかでも足先や足首は、血行が悪くなると冷えて冷たくなりやすい部分です。
足浴で足元を暖めてやさしく洗浄するだけで、マッサージ効果を得ることができ、刺激を与えることで筋肉や関節を動かして血行を促します。
また、足指の股や爪をきれいに保って炎症を防ぎ、古くなった角質や汚れを落として、新しくやわらかい皮膚を生成するのにも効果的です。
○褥瘡の早期発見にもつながる足浴
寝たきりの人に対する介助や入院患者の看護を担っている場合、褥瘡発生部位の処置や、腰・背部など好発部位の観察に注意が行きがちです。
しかし、寝たきりの人にとっては、足のふくらはぎや、かかとも同じく圧迫によって褥瘡が起こりやすい部分といえます。
洗浄と観察を繰り返し行って、褥瘡予防を心がけましょう。褥瘡が発症した部分は、お湯につけると痛みが出ることもあります。足浴湯の温度に気をつけて、洗浄石鹸をしっかり泡立てて、こすらず丁寧に洗いあげるようにしましょう。
足先をホットタオルで拭くだけでも、足元を暖めて気持ちよく感じてもらえることでしょう。体の調子を見ながら、介助をする人もされる人も、無理をせず続けられることが何より大切です。