- 2016-8-16
- 褥瘡(床ずれ)
人間は日々刻々と老い、老化現象が進みます。その老化現象の一つに細胞寿命説があります。人間の細胞には寿命があり、たんぱく質の一種であるコラーゲンが加齢とともに硬化して、細胞の機能が制限されるという考え方です。また、活性酸素の働きにより細胞の損傷が起こるとするフリーラジカル説や免英系異常が原因となる自己免疫説があります。
これらの説によって引き起こされるのが、脳血管障害や心疾患などの病気、つまずきや滑りによる転倒、転落による骨折です。
○高齢者の身体的特性
廊下による機能低下がもっとも表れ易いのが運動機能や感覚機能の低下です。これによって生活する上での障害が多くなります。
●神経・筋機能の変化
一般的には若者と比べて高齢者は動きが緩慢になりがちです。安定性や平衡感覚がなくなり転倒しやすくなります。
また、運動神経が低下する為、瞬発力を欠き、ちょっとした凹凸でもつまずきやすくなります。
●視覚や聴覚の変化
転倒防止や転落・交通事故を防ぐために、視覚と聴覚は重要な役割を果たします。しかし、加齢によって目の水晶体の弾力が失われて、白内障や老視、緑内障がおこり、次第に視野が狭くなって最悪の場合失明する危険もあります。
老化によって難聴を起こし、語句を区別する弁別能力も低下したり、話の理解度も下がることがあります。
●骨格系の変化
特に女性に多い骨粗鬆症は、骨の密度が低下することに依る骨折を招きやすくしますが、脊椎圧迫骨折に至るとその後の運動に大きな影響を及ぼします。
●心・血管機能と腎臓泌尿器系
心臓・血管系は、心臓・動脈・静脈・毛細血管から成り立ち、自律神経の支配を受けていますが、血管の弾力が加齢によって失われてしまい、動脈硬化が進行することで狭心症や心筋梗塞を招きやすくなります。
また、心血管機能に問題が生じると、長距離歩行や階段の上り下りなどは運動負荷の状態になります。
内臓の中でも腎機能が低下すると、体内の余分な水分や塩分、老廃物を尿として排出する機能が低下し、尿路通過障害がおこります。残尿や頻尿、失禁を起こす原因となるのです。
尿失禁には3つのタイプがあり、「いつ流性尿失禁」(前立腺肥大などが原因)「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」が起きることで、湿気がこもりやすくなり、下半身の皮膚の炎症を起こしやすくなります。
主に、身体的能力による転倒や転落によって疼痛をおこし、痛みを軽減する為に安静状態が長くなると、筋力低下や拘縮(筋肉や人体が硬くなって関節の動きが制限される)を引き起こしやすくなります。
高齢者を取り巻く環境や生活状況によっては、寝たきり・自立した生活の制限による行動範囲の縮小が起こりやすく、この状態が長くなればなるほど、体の一部分を圧迫して損傷を起こす床ずれ(褥瘡)を引き起こしやすくなります。