床ずれとは、何らかの外的刺激によって皮膚がめくれて損傷し、また圧迫やずれなどが原因で皮膚の血流が不足することによって起こります。
一時的な外傷（怪我）ならば、傷は鋭利にはがれ瞬時に皮膚表面が傷つきますが、床ずれは（個人差は大きくありますが）一定時間加圧され、またその状態からわずかに移動するずれが生じるために、表面の傷ではなく皮下組織からダメージを受けます。

○初期の床ずれを発見したら
長らく同じ姿勢を維持していると、皮膚表面が赤くなって、発疹・水疱・血疱が表れます。これらの状態は、圧迫によって床ずれが起こったサインです。
まだ発生して間がない状態であれば、体圧を分散させ、圧迫を解放することで元に戻る可能性も十分にあります。ただ、水疱が破れて傷ついた皮下組織があらわになっている状態になると、それ以上に進行させないためにもきちんとケアをしたほうが賢明です。

 
●急性期（初期）の床ずれの治し方
まずは傷ついた皮下組織部分の創傷が乾燥しないように、皮覆剤（ドレッシング剤）で覆い、傷を保護しながら適度に湿り気を与えるようにします。
表皮細胞が傷つくと、体内の自助作用で滲出液が分泌されます。傷の状態によっては、滲出液が多く出すぎる場合もあるので、適度に湿らせる状態にしておくために、毎日経過を観察して、過剰な滲出液をコントロールすることで、創傷部分の治りも早くなります。

 
●外用薬を用いた治し方
感染の予防や皮膚の乾燥を防ぐ目的で、外用薬を使用するのも床ずれを治すためには非常に有効です。ただ、通常の切り傷を治療するように、外用薬を塗り込んでしまっては、床ずれをさらに悪化させてしまいます。
外用薬を使用する前に、創傷部を清潔に洗浄し、傷を覆うように塗布します。外用薬には、傷部分の水分を保持する・感想を防ぐ・滲出液を抑える等、目的が異なるものがたくさんあります。
しかし、床ずれを治すための特効薬はありません。上手に創傷部の状態にあった外用薬を用いて、傷を覆うようにしましょう。

 
○慢性化した床ずれの治し方
皮膚組織が深部にわたって傷つき、欠損してしまった状態になると、単に薬を塗るだけではなかなか快方に向かいません。
傷口の皮膚組織がなくなってしまったことで、外的な刺激や細菌から体を守る機能が失われてしまっている状態なので、感染予防をしっかりと行ったうえで、死んでしまった細胞を除去することが大切です。
壊死した細胞を取りさると、新たに皮膚再生を行う細胞が育ち始めます。しかし、創部の状態は常に変化します。わずかな外用薬効果の違いや圧迫等の刺激、湿潤度合いによって、創の状態も変わってきます。
経過観察をこまめに行い、常に創傷部を清潔にしながら効果のある外用薬を適時使用し、湿潤状態を保つこと。これが床ずれの治し方の理想像です。