- 2016-7-2
- 褥瘡(床ずれ)
ケガや手術によって自由に体を動かすことができない人や、寝返りができない人などは褥瘡になる可能性が上昇します。
一般的には寝返りを打つことで定期的に体位変換を行って自然に褥瘡を防止しています。しかし体を自由に自分で動かすことができない人は寝返りも自分で打つことができないので褥瘡ができる可能性があります。
褥瘡ができる原因
皮膚への血行が阻害されることで、栄養や代謝障害が長時間続き虚血性変化や壊死、潰瘍などの症状が皮膚に見られるようになったものが褥瘡の病態です。
寝返りを打つことができず、長時間同じ部分が圧迫されてしまうと皮膚に酸素や栄養が十分に行き渡らないことで褥瘡になります。
考えられる原因は以下の通りです。
・局所を圧迫することによる血行障害
・ずれ、摩擦
・皮膚の乾燥もしくは湿潤
・栄養不足
・痩せ、むくみ
・マンパワー不足
・褥瘡の知識の不足によるケア
・経済力の不足
褥瘡の診断方法
褥瘡かどうかの診断はDESIGNツールという褥瘡の程度の評価に用いられるツールによって判定されます。
・D(深さ)
・E(滲出液)
・S(大きさ)
・I(炎症)
・G(肉芽組織)
・N(壊死組織)
・P(ポケット)
もしも感染が認められた場合には、細菌培養によりどのような菌に感染しているかを調べます。
褥瘡予防のために皮膚の観察を
皮膚に赤みが発見された場合、その部分を圧迫しないように体の向きを変えることが必要です。
いつまでたっても赤みが消えない場合、もしかしたら褥瘡かもしれません。
褥瘡になってしまったら
栄養状態が悪い上に寝たきりの人は褥瘡になりやすいと言われています。
低栄養状態になると自身の筋肉や脂肪を分解しながらエネルギーを補っていくことになるので、筋肉や脂肪を減少させてさらに骨が突出して褥瘡ができやすい環境になってしまいます。
褥瘡の治療は、薬剤での治療に全身状態や栄養状態を整備するなど、褥瘡が発生した原因を取り除く治療が中心となります。
褥瘡の原因となる疾患
疾患によっても褥瘡を起こしやすい状態になります。
糖尿病、脳血管疾患、骨盤骨折、脊椎損傷は代表的ですが、骨盤骨折や脊椎損傷の場合、体位変換を自分で行うことの妨げとなることから褥瘡を作る原因となる場合があります。
糖尿病は免疫力を低下させますし、脳血管疾患は寝たきり状態になったり、麻痺により褥瘡を起こしやすいと言えます。
他にも、アルツハイマー、関節リウマチ、骨粗しょう症、うっ血性心不全、深部静脈血栓症、末梢血管疾患、パーキンソン病、慢性閉塞性肺疾患、尿路感染症なども褥瘡を起こしやすい病気と言えます。
褥瘡予防の第一歩は皮膚観察
褥瘡ができやすいのは骨が突出しているところで、布団やマット、車いすなどで圧迫されている場所です。
介護ケアをしている人の場合には、着替えやオムツ交換、入浴介助の時に褥瘡ができていないかを重点的に観察しましょう。
また、褥瘡の原因によって正しいケアを行うことが治癒までの期間を短縮することに繋がります。