- 2017-7-28
- 褥瘡(床ずれ)
床ずれは、起こってから早めに対処をする「初期ケア」と、起こさないための「予防ケア」が重要なポイントです。
発症した床ずれは、早い段階で適切なケアを行えば、重症化せずに完治にも時間がかかりません。また、日常的な予防を意識して、全身の状態観察をすれば、体に負担をかけずに快適な生活を送ることにもつながります。
床ずれが起こると、発症した本人は終始、痛みに悩まされますし、介護をする家族やワーカーは恒常的な処置と体位変換を行うことになります。
床ずれが起こらないために、皮膚の状態を観察して、予防的スキンケアを行いましょう。
〇床ずれになりにくい皮膚を保つ
圧迫やずれ力が皮膚に加わって、上皮層が傷つくことが床ずれの大きな原因です。皮下組織が壊れて、十分な血流がない状態が続くと、傷を修復する栄養が不足して、その傷は皮下組織に浸食していきます。
皮膚が固く乾燥した状態だと、圧迫やずれによる外的刺激によって、こわれやすくなりますので、やわらかくしなやかな皮膚をキープしておくことが、床ずれの予防ケアの基本となります。
●やわらかい皮膚が床ずれを予防するとは
例えば、固いおせんべいを思い出してください。折り曲げると、パキっと割れてしまいますね。この割れた状態に皮膚を置き換えて想像してみてください。皮膚がささくれ立って、傷口が出来て痛むでしょう。
おなじおせんべいでも、ぬれせんべいや湿気を含んだものは、簡単に割れませんね。このように、湿気(保湿)されていると、しなやかな動きをして傷がつきにくくなります。おなじことが皮膚にも言えるのです。保湿している皮膚はやわらかく、外的な刺激を受けにくくなり、結果床ずれが起こりにくいということがいえます。
〇保湿クリームを使って床ずれケアを
保湿環境が整うには、皮膚に十分な潤いを与えておくことと、皮膚の水分を逃がさないことが大切です。水分を十分に与えていても、その水分が蒸発するときに、必要な水分も気化で奪ってしまいます。
高齢者の皮膚は、上皮層に潤いをとどめておく成分(セラミド)が減少し、乾燥状態になりやすい特徴があります。また皮脂の分泌量も減り、潤いが逃げやすくなっています。
基礎代謝が悪くなって角質層が肥厚しやすくなり、乾燥した皮膚が表層にとどまってしまうので、さらに皮膚が固くなってしまうことも考えられます。
まずは、しっかりと水分を皮膚に与え、皮膚の表面にバリア機能を備える必要があります。保湿クリームを優しく塗って、蒸発を防ぐ対策をとりましょう。
わずかなずれ力によって、床ずれが起こることにも注意しましょう。こするようにクリームを塗りこむのではなく、優しく表面を覆うように、軽くおさえるような塗布の仕方をするのがポイントです。
皮膚をしなやかに保つために、水分の補給と蒸発を防ぐためのクリームを使用し、床ずれを予防しましょう。