- 2016-10-7
- 褥瘡(床ずれ)
褥瘡は「床ずれ」という言葉とほぼ同じ意味です。床ずれという言葉から想像するのは、寝た姿勢が長くなることで生じる、僅かながら痛みを伴うような圧迫痕という程度の軽い症状ではないでしょうか。しかし、看護・介護に携わる人で、特に体のマヒや高齢によって寝たきりや車いす生活を送る人に携わっている場合、この褥瘡と日々イタチごっこをしているように感じられるほど、ポピュラーであり重症化しやすく注視すべき症状なのです。
○褥瘡を発症する原因は
寝たきり(安静臥床)の時間が長くなればなるほど、体はベッドやマットに押しつけられます。寝た姿勢は安静にするものであって、体をさほど傷める事は無いとも思われがちです。しかし体の重みや重力によって、一定時間同じ姿勢のまま臥床姿勢を取り続けると、ベッド面や車いすの座面に接触した部分がうっ血し、充分な血流がいきわたらないため、皮膚や細胞壊死がおこりやすくなります。初期段階では赤みがともなう程度であっても、更に寝た姿勢を強いられる患者は、定期的に体位を変えてあげても、常にどこかが数時間圧迫された状態を繰り返すことになります。圧迫箇所が褥瘡を発症すると、処置やケアを施す箇所も増えて体位変換もしづらくなります。そして順に褥瘡箇所が増えていき、処置が遅れた箇所の細胞壊死が進み、結果として外科的処置や手術が必要になるケースも少なくありません。
●好発部位=外部要因
褥瘡の原因には、内部要因(栄養が不足して細胞の壊死進行が早まる・感覚麻痺で痛みを感じないため、看護者が気付きにくい。など)と外部要因の二つに大別することができます。好発部位と言われる場所は、長時間寝ている時に圧迫しやすい肘やくるぶし、仙骨部分や後頭部のような、骨の突起部です。骨が突起している箇所は、一般的に筋肉や皮下脂肪が少ないので圧迫衝撃から体を守ることが難しくなります。体圧の加重がそのままダイレクトに突起部に集中し、周辺部位よりも褥瘡を発症しやすくなります。このような体のパーツが好発部位です。
○褥瘡を進行させないために
一度褥瘡を発症すると、その箇所には痛みが強くなり、特に仙骨周辺の臀部で発症すると、仰向けの姿勢で臥床すること自体が痛みとなるため、こまめなケアや体位変換が必要になります。
●体位変換をこまめに
褥瘡ケアの場では、おおよそ2時間に一度体位変換を行い、炎症やただれを起こした箇所を一つひとつ丁寧に処置するように看護計画をたてて、スケジュール化するほど大変な作業が続きます。しかし、最近では褥瘡を予防するための柔らかいマットレスや、エアマットも普及してきて、圧迫を行ない(発症しても程度が低い)寝具の種類も多くなってきました。これらの用具や寝具を使って、少しでも患者の傷みが軽減されるように細やかな応対が大切です。