- 2016-11-10
- 褥瘡(床ずれ)
体に何かしらの傷がある場合、それがどれほど小さくても、正常に神経が機能している身体であれば痛みを生じます。
床ずれの場合、その創傷レベルは軽度の水疱や発赤から、皮膚・肉細胞の壊死に至るまでレベルが幅広く、傷口から細菌に感染して血流にのり、全身に細菌感染が起こると生命の危険も起こりえます。
痛みのレベルや疼痛の表し方によって、どのような床ずれが進行しているのか、またその創傷レベルに対してどのようにケアしていけばいいのかという指標となりますので、痛み方の表現も重要な情報になります。
○どんな床ずれも痛みがある
皮膚にある痛覚は、真皮上層から乳頭層に多くみられる自由神経終末がつかさどります。軽度で皮膚創傷がひどい場合は尖った痛みが多く、壊死組織を伴うような深部の重度褥瘡では、真皮が壊死しているため痛みを感じないという風にも思われがちです。
しかし、壊死細胞があっても患部周辺や創の縁を触ると痛みがあったり、周囲が炎症を起こして痛みが生じたりする事もあります。この場合、褥瘡が深ければその分痛みも大きくなると言われています。
○床ずれの痛みアセスメント
床ずれは、こまめな処置と観察、ケアが必須です。滲出液が多くなるような場合は特に、ドレッシング交換を頻繁に行う事もあるでしょうが、9割近くの床ずれ患者がドレッシング交換時に、85%もの人が安静時に痛みを感じているという統計結果があります。また、40%以上の人が絶え間なく痛みを感じており、処置以外の時間帯にも痛みの有無に注意を払って確認することが大切です。
○痛みの分類とシーン
〈安静時〉は、創部の炎症や感染、また骨突出部の圧迫による痛みが起こります。〈体を動かした時〉には、ドレッシング材や衣類の摩擦、体位変換の骨や筋肉の痛みを感じます。そして、〈処置を行っている時〉には、ドレッシング材の除去、創部洗浄の傷みや、デブリドーマン処置などの機械的刺激、体位変換の骨や筋肉の痛みを生じます。この3段階で起こる痛みを理解しておきましょう。
○いつ・どのように・どこが・どのくらい痛いか
痛みを理解するためのアセスメントとして、いつどのように、どこがどれほど痛いかを、患者の判断能力に応じてレベル分けして、経過観察を共通認識しておくことが重要です。
また、痛みがあることで日常生活にどの程度の支障をきたしているかという辛さを分かっておくのが大切です。
床ずれのある患者全てが、適切に表現できるわけではないので、顔の表情や眉間のしわ、筋の緊張などの様子を見逃さずに、苦痛があるかどうか観察します。
ズキズキ・ピリピリ・疼き・ズーンと重たい、というように痛みの表現にも色々あります。これらの表現を漏らさずに、神経の痛みか感染等の体性痛や内臓痛かを想定して、創部分をきちんと処置するようにしましょう。