褥瘡の発症リスクと予防ケアの判断・変更について

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寝た姿勢が長くなれば、その分褥瘡発症リスクが高まります。特に皮膚の潤いが不足しやすく乾燥が進みやすい、また皮下脂肪や筋肉量が少なく骨の突出部分に加圧が生じやすい高齢者が褥瘡を起こすと、創傷部分の治癒に時間がかかります。

そして、治療よりも進行スピードのほうが早く重症化しやすいという特徴があります。
褥瘡を防ぐには、除圧を適切に行う事。これが最も重要で最大の課題となります。

 
○体圧の集中を防ぐ為には
体圧と接触部分の接触圧が褥瘡を引き起こす元となっている事は知られていますが、適切に除圧するための方法を考える事は、褥瘡リスクを緩和するうえで非常に大切です。
末梢部分の毛細血管が圧迫によって虚血状態に陥ることで褥瘡が引き起こされますが、高齢者は特に、末梢血管が細く、圧も低いため、少しの圧力やずれ力、摩擦によって褥瘡を起こしやすくなります。

 
●体圧だけではなく相対的判断を
体圧分散マットレスを用いれば褥瘡を予防できるという端的な方法では、実際にリスクを回避しても予防にはつながりにくいでしょう。
褥瘡が発生するメカニズムをきちんと理解しておく必要があります。
大きな理由は虚血性・阻血によって皮膚状態が悪化する事ですが、このほかに、圧が抜けた後の血再流障害や、リンパ系機能障害、細胞や組織の変形など、それぞれの要因が複合的に絡み合った結果、障害が褥瘡という形で表面化します。
体圧が分散されているかを判断する体圧測定を実施して、その効果が確認された場合でも他の要因によって褥瘡が起こる可能性は充分にあると考えるべきでしょう。
しかし、状態や体圧の掛かり具合によって体位変換マットレスを交換し、患者の体に合ったものを使用するための目安として、マットレスの交換を行った時や、皮膚の発赤を発症した・創が悪化した、ポジショニングを変えた時には、体圧測定を実施しておくほうが賢明です。

 
○全身状態が悪化した時の確認方法
仮に、好発部位全体的に褥瘡が起こった場合は、体圧の状態以外の理由を体調変化と併せて検証する必要があります。
全身状態が悪くなると、血液数値が栄養不測を示したり、白血球が急増したりする深刻な状態になっている事も考えられます。外科的な見方でのみ判断するのは、潜む全身感染のリスクを見逃してしまうきっかけになります。
また、術後の集中治療中は、本人の意識レベルも低く、看護の目視でしっかり確認を行う必要性が高まります。手術傷からの感染と、創傷機能レベルが低くなっている褥瘡からの感染を予防するためにも、壊死細胞や肉芽組織の見極めと治療の判断が重要です。

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