寝たきりや安静状態が長くなると、体の骨突出部に体圧が集中することで発症リスクが高まる褥瘡。治療や処置を行う環境は、褥瘡部分の治る速さ見込みと発症具合によって様々です。
褥瘡の発症リスクが高く、なおかつ発症後ケアが非常に難しいので、オムツを着用している人のケアを行う人も戸惑うことがあるでしょう。
褥瘡が起こりやすい、寝たきり姿勢の臀部褥瘡予防に必要なスキンケアと配慮点をピックアップします。

○機能性が高いオムツでも褥瘡が起こるか
一昔前の大人用オムツは、ただ単純に「寝たきりの下介助負担を減らす」ための処置用具だと考えられていました。トイレへの移動が難しい患者には、オムツを着用することで体に過剰な負担をかけずにすみますね。
近年はオムツ自体の性能と機能が充分に備わってきました。しかし、性能の高さを理由にして、処置や交換の頻度を減らすのかどうかというのがポイントです。

●オムツと接触する部分のスキンケアが大切
確かに、吸収性に優れてオムツ内の不要な蒸気を解消させるオムツ商材も急激に増加してきました。とはいっても、失禁した後の湿度を含んだオムツの内側は、皮膚にとって好ましい状態ではありません。
過剰に湿潤が高まると、オムツと接触している臀部の皮膚がふやけてきます。過剰な水分で膨潤してしまうと、体位変換やずれ力が働いたときに、皮膚がむけてしまい、これがきっかけで褥瘡が起こってしまうのです。
オムツ交換を行うたびに、いったん過剰な湿度を逃がしましょう。湿気で肌が必要以上に柔らかくなっているなら湿度を逃がすことも大切です。
そして皮膚保護クリームを使って、接触面をやさしく覆うようにして塗布してあげましょう。
○失禁とスキンケア　褥瘡予防に必要なのは
失禁によって高まる湿度をうまく逃がしながら、患者の臀部や肛門、外陰部に残りやすい尿や便をしっかり洗浄して取り除きます。
尿・便は感染細菌が多く、また感染能力も強いため、愛護的にやさしくこすらずに洗浄して、他の褥瘡がないかどうか経過観察もキチンと実施しましょう。

●処置を行う看護者の感染予防対策
患者の皮膚に保湿クリームや保護材を塗布するときには、ディスポーサブルの手袋用います。排泄物に直接手が触れないようにしましょう。
保湿クリームを伸ばして塗布するときは、やさしいタッチで除々に広げるイメージで行います。こすってなじませようとすると、あっという間に褥瘡を発症してしまうかもしれません。どうしても力が入ってしまい、うまくいかない人は、スプレータイプのものを使うと良いでしょう。