褥瘡の状態を可視化する DESIGN-R

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褥瘡を完全な治癒に向かわせるためには、その時々で創の状態を正しく評価し、治療方法に修正を重ねていく必要があります。
そして、失った皮膚をきれいに再生させることで創面を回復させれば、褥瘡は快方に向かっていると考えていいでしょう。
しかし、治療をしている途中に、皮膚がなかなか再生されない(上皮化が進まない)ことがあります。上皮化の進まない原因を多方面から比較しながら検討して治療を進めていくことが大切です。


○DESIGN-Rで経時的観察を
褥瘡の状態を正しく観察して治療に結びつけることができるツールとして、DESIGN-Rがあります。日本褥瘡学界が提唱した簡便なツールのDESIGNから、それぞれの状態を点数化して重みづけを加味した、バージョンアップ版として、臨床の現場では広く使用されています。

●軽度と重度を簡易判断できる
褥瘡の状態が軽度か、または深刻な状態の重度なのかによって、日々のケアと注意点が大きく変わります。
軽度であれば、経過観察と処置、予防を中心にして毎日のケアを続けていきます。軽度の状態だと判断した場合は、項目をあらわすアルファベットの表記が小文字になります。
反面、全身的観察と局所の外科的処置が必要なレベルに達した重度の場合、アルファベット表記は大文字となります。
それぞれの項目でどの点に注意してケアを進めていくべきかが、アルファベットを見れば一目瞭然というわけです。

●褥瘡経過評価用DESIGN-R
従来の評価では、重症度を測るときに採用した点数の加点が、それぞれの項目ごとに設けられた進行程度が1進めば1加点するという積算方式でした。
しかし、実際の褥瘡評価をするには、たとえば滲出液の量と褥瘡の深さのランク付けを、同等に1点ずつ加点しながら測ることは適切ではないでしょう。
褥瘡がどれだけ深刻な状態なのかを点数を見て客観的に判断するためには、項目の重要度に応じて点数の割りあても変わってくるはずです。
DESIGN-Rでは、特に感染に関する項目(iまたはI)と、ポケットの全周(pまたはP)で点数の重み付けが顕著になっています。この二つの項目が、褥瘡治療にとって重要化ということも判ります。

●局所評価から全身の観察にも生かせるDESIGN-R
原則的に、このアセスメントツールは、褥瘡の状態とレベルを計るための局所評価を行うものとして利用されています。経時的な判断材料としては充分に活用できるものですが、そのアセスメントを基にして、どのようなケアを取り入れるべきかという全身のアセスメントにつなげていくことが大切です。
創傷を起こした一部分だけを看て、その治癒を目指すのではなく、より早く効果的になるための全身ケアは何があるか。たとえば栄養状態や洗浄、体圧評価など、トータルでその患者のケアを行うもととなるアセスメントにつなげるべきでしょう。

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