- 2017-5-25
- 褥瘡(床ずれ)
同じ姿勢を保ったまま時間をすごすと、しびれやいたみを感じるは誰しも同じです。ただ、体の自由が利く人は、その痺れやいたみを自分で解消することも、しびれる前に体勢を変えて予防することもできます。
体の自由が奪われている環境にある人が、同じ姿勢を保ち続けることで感じる痛みは、それだけで充分なストレスです。そして、その後に褥瘡が発症すれば、更に体の損傷による痛みがつづきます。この苦痛は、起こってしまう前に予防して、新たなストレスを増やさない配慮をしなければなりません。
○褥瘡が発症する前に 予防を強く意識する
褥瘡は、初期の段階で皮膚が少し赤みがかり、傍目に大した傷では無いように見えます。
しかし、褥瘡のケアをした事が有る人ならお分かりでしょうが、一度起こった褥瘡は、可能な限り早く処置してあげないと、後に数ヶ月にも及ぶ創傷になって、介護をする人もされる人もその処置と痛みに長く付き合うことになってしまいます。
●予防の第一条件 加重の除圧をこまめに
体がひどく疲れたり、お酒に酔ってどっぷり寝入ったりした翌朝に、腰や首、肩に痛みを感じた経験はありませんか。特に臀部やふくらはぎ、体勢によっては体に腕をしき込んで寝てしまい、痺れを感じることがあるでしょう。
このような痛みを感じた日でも、体の自由が利く人は無意識に寝返りを打っています。体の違和感を寝返りで解消しているのです。
感覚に障害がある麻痺や、老化によって関節の拘縮が進んでいる高齢者などは、寝返りを簡単に打つことができません。何より、感覚が鈍っているため、除圧ができずに褥瘡を発症することも珍しくありません。痺れが起こりそうな間隔(およそ2時間おきが理想)を基準に除圧を施しましょう。
●褥瘡ケア 感覚の鈍化は特に注意を
痛みを感じない神経系の疾患や、高齢による感覚の鈍化は、褥瘡の発見を遅くしてしまいます。自覚症状がないため、介助を行う人の観察でしか気づく手立てが無いのです。
よって、介助や介護を行うときには、その局所だけでなく全身の観察を怠らず、皮膚の赤みが気になるところは特に注意して、除圧を行いましょう。
○除圧のストレスと褥瘡の痛み
寝たきりやマヒによる稼動制限がある人は、自分の身辺の世話をしてもらうという負い目を感じている人が多く、ちょっとした違和感や痺れを言い出せないケースがあります。
反対に、自分が思うように動けないストレスや、周囲の人とのかかわりを持ちたいという欲求を満たすために、呼びかけや介助を多くするというケースもみられます。
介護や介助を毎日担う人は、自分の思い通りに事が進まずに、気分が荒立つこともあるでしょう。また、褥瘡予防のために、定期的に行わねばならない除圧は、なれた人でも相当の負担です。
互いが心身ともに健康な状態を維持できるように、福祉用具や地域サービスなどを活用して、無理のない予防を続けていくことを心がけましょう。