褥瘡治療の観察基準となる創傷部の色

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褥瘡は、その創傷レベルの段階や傷の大きさ、深さ、状態によってさまざまな兆候が現れます。
その色変化による兆候を見て、表面的には判断できない褥瘡のレベルを予測し、さらに悪化するまえの処置を施すきっかけにすることができます。
褥瘡の傷にみる、色の変化と予測できる状態を知っておきましょう。


○褥瘡が疑わしい「赤」色
ぱっと一見しただけで確認することが出来るような、皮膚表面に生じた赤、または赤斑点は、圧迫によっておこるうっ血のサインです。圧迫の度合いによって、皮膚の赤色が紫色に変化することもあります。
押さえつけることで生じるうっ血(赤色)によって、その部分に血液を滞留させている状態や圧迫の強さ、長さを予測することができるでしょう。体圧こそが、褥瘡の発症に大きく関わります。皮膚表面の色変化を確認したら、体位変換をしてポジショニングを整えましょう。

 
○皮膚表面の「白」色
療養が長くなる、寝たきりの時間が長期化する人は、運動する機会が減り、全体の血流が悪くなりがちです。顔や手足の色が白い場合は、特に毛細血管の血流が停滞している可能性に注視しましょう。
良好な血行は、褥瘡を起こしにくい体づくりのための必須条件といえます。十分な血流は体温を維持し、細胞に有効な成分を届けて老廃物を回収する役割を担っています。血流が不足している部分は体温低下によって青白くなります。冷えを感じやすくなり、全身の代謝も落ちてしまいます。
粉をふいたような白色は、肌の乾燥を表します。褥瘡治療には、肌のうるおいと保湿が欠かせません。観察時の項目に、保湿レベルを確認するよう追加しておきましょう。

 
○褥瘡傷の「黄」色
褥瘡によって表皮が欠損し、真皮細胞にまで及んでいる場合は、丁寧に洗浄して効果のある外用薬を塗布するといった処置を行います。処置時には傷の具合をしっかり確認しましょう。創傷部分に黄色または黄土色の部分があったときは、炎症や局所感染を疑います。
傷の修復が進むためには、欠損した部分の肉芽細胞が鮮明な赤色の状態が望ましく、この状態は「きれいな創面」と判断します。血液が巡って細胞形成が活性状態にあることが見て取れるでしょう。
しかし、肉芽細胞の合間に黄色や黄土色の部分があれば、膿や化膿、感染が生じ「汚い創面」に見えます。汚い創面は治癒を遅らせるだけでなく、深部に褥瘡を進行させる危険があるため、外科的処置などを施して、きれいに除去するようにしましょう。

 
○褥瘡部分にある「黒」色部分は
深部に及ぶ深刻なレベルの褥瘡は、その創面をきれいにするだけでは処置が及ばない場合もあります。創の奥深くにポケットを形成し、炎症をおこすことで細胞が壊死する場合も多く、傷面に生じた壊死細胞は再生せずに周辺細胞を浸食します。
良好に回復する途中にある細胞を壊死させてしまう危険が高いので、褥瘡部分に黒色の壊死部分を確認したら、早急に除去します。ただし、広い範囲にわたる壊死や、患者の既往歴によってはその壊死が別の疾患によって生じたものである場合もあります。
褥瘡治療は、長期的な観察とその時々の症状に応じた適切な処置が必要です。少しの変化も見逃さず、傷の治りが悪いと感じたら医師に相談しましょう。

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