床ずれの発症レベルを図るためのポイント4つ

a3c84bee89df1870e84b55cc0c8d628b_s

ずっと寝たきりや車いすに座ったままだと、必ず床ずれを起こす…というわけではありません。また、少しの時間だから・いつもこの姿勢で過ごしているからと、ほんのわずかに思える時間でも床ずれを起こす場合があります。
床ずれは、圧迫の具合や身体の状態など、その時々で起こるリスクも変わります。
一様に褥瘡を見るのではなく、その時に起こり得るものかどうかを都度判断して、床ずれを予防するようにしましょう。
床ずれの発症レベルを図るために、医療現場や在宅ケアで一つの指標とされているのがOHスケールです。
このOHスケールは、4つの床ずれ要因を元に、その状態を数値化して全体の発症レベルを算出するという方法です。
数値が高ければリスクも高くなるため、非常にわかりやすくレベル判断することができます。


〇とこずれの判定方法は
基本となる4つの要因を2または3段階レベルで判定します。わかりやすく判定するために「できる」「どちらでもない」「できない」の三段階、または「ある」「なし」(「中等度」)の二段階判定が基本です。

 
●自力体位変換能力
自分の意思と身体機能で、体位を変えることができるかどうかをレベル化します。できるならレベル0、どちらでもなければ1.5点、できなければ3点です。
ただし、身体機能は残存していて意識レベルもはっきりしているのに、声がかかるまで動こうとしないようなケースは、自発的に動かない(ケアなしでは動けない)と判断して3点を付けます。

 
●病的骨突出部分の判定
高齢者や、病床に付している人は栄養不良などで痩せたり、廃用性委縮が進行したりして、仙骨部分が突出することがままあります。
仙骨部分が相対的に突出して、臀部と高度差があると床ずれを起こしやすくなるため、この高さの差を数値化します。骨突出判定器を使って計測しましょう。
左右の殿筋部の皮膚高さが十分にあって、仙骨のくぼみが確認できれば、床ずれリスクは0となります。仙骨の突出が2センチ未満であれば、ほぼ平らな状態で中等度(1.5点)、二センチ以上突出してればシーソー状態で高度(3点)と判定します。
臀部を計測するため、おむつの交換や入浴時に、側臥位で判定するといいでしょう。

 
●浮腫(むくみ)のレベル
むくみは、皮下組織に水分を過剰に貯留していることで起こります。腎臓・肝臓機能の低下や心不全、投薬によって浮腫が出やすくなります。
局所の外傷によっておこる浮腫は判定に含めず、全身的な浮腫をレベル測定の基準にします。浮腫があると、ずれ力によって皮下組織が壊れやすくなるので、局所的に起こっている浮腫も含めて慎重に経過観察する必要があります。
浮腫があれば3点、なければ0点とします。

 
●関節拘縮の有無
高齢者、身体を十分に動かすことができない入院患者に起こりやすいのが関節拘縮です。しばらく寝たきりでいると、全身運動ができないために、股関節や指の関節、膝や肘などが動かしづらくなります。
関節拘縮は、体のどこか一部分でも動かしづらい場所があれば、拘縮あり1点、なければ0点判定をします。
このOHスケールを使って、床ずれの発症するレベルを知ると同時に、どの部分にどのような補助具が必要かを検証することもできます。
褥瘡リスクに合わせてマットレスや介護力を見直し、予防する体制を整えましょう。

関連記事

ページ上部へ戻る