敗血症治療と血糖の変化について

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敗血症を発症した患者の体内では、通常では起こりえないようなダメージが急スピードで進行します。血中に侵入した感染細菌が、血流に乗って全身にいきわたります。その時に、細菌が臓器を巡ることでさらに症状を悪化させ、多臓器に影響を及ぼします。
敗血症の症状悪化を確認するうえで、まずは血糖への注意を慎重に継続することが大切です。


○敗血症患者が高血糖状態になると
細菌感染が血液に見られる敗血症の治療を継続している間は、血糖コントロールが非常に大切です。血糖値が高い状態は、血管をつくる細胞にとって好ましいものではありません。血管細胞にダメージが及び、高血糖の状態が長く続くとさらに感染リスクの上昇につながります。
血管の細胞に傷害が起これば、感染源に効く薬を血管注入していても、効果的に全身に送られない可能性もあり、血管内皮細胞を守るという点と合わせて血糖値への注意が重要になります。

 
○高血糖を解消 インスリン投与
高血糖の状態は臨床で180mg/d/以上が基準となります。高血糖を呈する重症敗血症患者には、血糖コントロールを行いますが、目標血糖を144~180mg/d/とするのが好ましいとされています。これは日本版杯決所診療ガイドラインに明確に記載されており、インスリン投与による血糖値引き下げに対するリスクも合わせて紹介しています。

 
●インスリン投与と目標値 その評価は
敗血症は、血液の感染という重篤な状態であるため、早急な処置と治療が必要になりますが、前述のとおり高血糖の状態が継続し、感染源への対処ができないまま時間が経過すると、さらに原因特定が難しくなるだけではなく、多臓器に影響を及ぼします。
ICUで集中治療を行う際、高血糖の症状が表れた患者に対して、これまで強化インスリン療法を採用したケース(80~110mg/d/を血糖目標値とする)がありました。心臓外科の見地から、この強化インスリン療法を以てICUでの死亡率が低下したという報告もありましたが、内科系ICUの見地では、同様の結果ではなく、強化インスリン療法で低血糖に転嫁させても死亡率が減少しなかったとされています。
強化インスリン療法を採用すると、高血糖を解消することができても、反対に重症低血糖の発症頻度を上げてしまうという統計もあり、血糖コントロールは非常に難しく、適時身長に容体を確認して対処しなければならないことが分かります。

 
○血糖値の測定 より正確に把握するために
敗血症患者にインスリン療法を導入している場合は、その経過観察のタイミングにも注意しなければなりません。インスリン投与量が安定する1~2時間ごとに、そして安定したらおよそ4時間ごとにモニターで確認します。
毛細血管を使用した血液測定では、効果が正確に評価できないケースもあります。正確性に欠く検査を継続していると、低血糖に陥ったタイミングを見逃してしまうことも考えるため、動脈・静脈血を用いた検査やその他の迅速血糖測定を使用するのが適切でしょう。

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