- 2017-2-1
- 不眠快眠・いろいろ
入院が長引く患者は、おおよそ寝たきりの姿勢のまま時間を過ごすことが多くなります。健常な頃は体を動かしたり、会話を楽しんだりしていた患者もいるでしょう。体を自由に動かせない状態が長くなると、筋力の低下や気持ちの落ち込み(不安定・気力の低下)など、心身ともにマイナス要素が多くなりがちです。
同じように、入院患者のせわをする家族や介助をする人たちの負担も大きくなっていきます。体を動かせないという気持ちから動かないものだという意識変化を改善してあげて、前向きな気持ちを維持することが、寝たきりの状態から一歩踏み出すきっかけをつくる要因になります。
○継続的な看護計画で寝たきりを予防
病院に入院している患者の目的は、「疾病やけがの治療」です。しかし、この治療中は、ずっと院内にこもりっきりになり、環境の変化がわかりづらいため時間の経過や変化に疎くなりがちです。
常に刺激を感じられるような、気持ちの変化を与えるアクションを起こすことが、患者の気持ちを解放させてストレス軽減に役立つでしょう。
●病理観察だけはない「看護計画」を
病気治療のために必要な看護の提供を考えて、看護計画を立案していきますが、傷の状態や、脈拍、体温、投薬などの記録をもとにして、その計画は変更されることもあります。
予後の経過がよくない、数値が正常に戻らない、など医学的な見地から数値をとらえて医療的判断を行うことがほとんどです。しかし、看護や介護を行う人は、経過を観察しているその時々の数値だけではなく、顔色や気分の乱れ、気持ちの変化や人生のイベントなど、様々な情報を得ているでしょう。
医学的な看護計画に合わせて、無理のない・可能な範囲で寝たきりの患者をベッドから出し、車いすや補助具を使って、院内の入院患者と交流する時間を作るなどの工夫をしてみましょう。
○脱寝たきりを目指す経過観察に必要なのは
ベッドから起き上がる場合は、血圧や脈拍に十分注意することが大前提ですが、まずは座位の姿勢をとり、足腰のマッサージや運動を取り入れて血流を促し、筋力を回復させることを意識しましょう。寝たきりで滞っていた血行の促進にもつながります。
そして、寝たきり対策を行うときも、あらかじめ医師に相談をし、家族や介護者の同意を得て、何より寝たきりの状態にある本人の了承を得たうえで行うようにしましょう。
気分が安定し、前向きな気持ちに変わることが、なにより寝たきりにならないための大切な要素です。静止したままの生活よりも食事の量が増え、血流促進も起こり、栄養を体に多く取り入れることができる効果も期待できます。
予後観察だけではなく、よりよい生活を送るために寝たきりの患者に何が効果的かを、サポートメンバーである看護師や介護士、家族が一緒に考えられる医療の形を理想に取り組みましょう。