- 2017-6-23
- 褥瘡(床ずれ)
寝たきりの姿勢ですごす時間が長いほど、背中の骨突出部分(肩甲骨や仙骨部分)の体圧が高くなります。この部分は褥瘡発生リスクが非常に高く、一定時間ごとに体位変換を行って除圧しなければなりません。
しかし、寝ている姿勢を余儀なくされている人にとって、数時間おきの体位変換は、体が休まらない心持がするでしょう。特に就寝時間帯は、ゆっくりと眠りに落ちるタイミングで体を動かされることに、ストレスを感じるかもしれません。
介護を行う人と受ける人の双方が、楽で効果的な除圧をする方法をとるのがベストですね。
○褥瘡を発生させない 背中の除圧タイミング
褥瘡を発生させないためには、体圧管理を継続的におこなっていかなくてはなりません。全身の除圧をバランスよく行う必要がありますが、特に、寝ている姿勢を保持するためにも、背中の除圧には充分に配慮をするべきです。
●スケジュールを立てて褥瘡管理を
褥瘡を管理する上で、体位変換のスケジュール作成は欠かせません。24時間、継続的に管理をしながら、抜けが無いように実践していくようにしましょう。
褥瘡リスクがある本人が、どのタイミングで体位変換をするか確認ができるように、ベッドの脇などに表を置いておくと、体位変換を行う際も理解が得られやすくなります。
●理想のサイクルは2時間 背中の除圧と睡眠
褥瘡をおこさないためには、日中の活動時間帯だけではなく、夜間の体位変換も重要です。しかし、睡眠中に体が動けば充分な睡眠をとることができないのではないかと心配になるでしょう。
また、暗い部屋で体を大きく動かすことは、他の事故にもつながりかねません。細かい移動で効果的な除圧ができるように、福祉用具や寝具を活用して体位変換をする方法を考えましょう。
○背中に褥瘡をつくらないポジショニング方法
体の向きや姿勢を大きく動かさなくても、予防を目的に使用する道具を使って、細かにかつ自然に動くだけで除圧することができます。
●ピローを挿入する深さと角度を変える
背中半身にピローや折りたたんだバスタオルを敷き、一定時間ごとに体の傾斜や角度を変えるだけで、皮膚の接触部分とベッド(マット)の接地面を変え、除圧することができます。圧を取り除くというよりは、体圧のかかる部位を移動させるという考え方です。
周期的に圧のかかる場所を移動させれば、以前に体圧がかかった場所も順を追って除圧することができます。
●マットレスを押し下げて背中部分をケア
マットレスの接地面を押して一時的に圧を抜くだけでも、効果は充分に得られます。これなら褥瘡の患者を動かさずに除圧することができます。
褥瘡をケアするときには、踝(足先)から後頭部(頭)まで、全体の体圧観察が必要ですが、特に肩峰部分や大転子部は体圧が大きくなります。この部分は充分に注意して、除圧を続けましょう。