- 2017-1-2
- 褥瘡(床ずれ)
ベッドの上で過ごす時間が圧倒的に長くなる「寝たきり」の状態は、褥瘡が全身あらゆる部位で発症するリスクを常に抱えています。
治療や安静、予後生活を過ごすために必要な姿勢とはいえ、安静のまま動かさない体位の状態はベストではありません。褥瘡を発症すれば、その創傷の状態にもよりますが少なからず、その傷部分に痛みやほてりが生じます。
創が進めば滲出液も増え、処置回数も増えてしまうため、そのたびに消毒やドレッシング材の交換をしていては体が充分に休まりません。
○仰向けの状態を緩和 ベッド上座位
寝たきりの姿勢のまま、自力で体位変換ができない患者は、後頭部と肩、肩甲骨部分、仙骨部、臀部と踵部、それぞれに体圧が集中します。
骨が突出している部分の加圧を和らげるための体位変換は、褥瘡回避にとても効果があります。でも、患者がベッドに体を預けたまま複数の介助の手を用いて、数時間おきに体位を変えるのは看護師や介助人だけでなく、患者にとっても楽ではありません。
そこで、特に上半身の加圧を回避するために有効なのが、ベッド上座位のポジション変換です。
●基本は頭側拳上30度以下
寝たきりの姿勢から頭側拳上にポジションを変えると、背と尾骨部分にずれ力が生じやすくなります。そして、自分の体の重みで臀部に向かって沈み込むように下がっていくのが一般的です。
この時に起こる皮膚の摩擦は、特に尾骨部分の毛細血管や細胞に対して、引き延ばすような力を加えてしまうため、褥瘡が起こりやすいので注意しましょう。
頭側拳上は、角度30度を超えるとずれ力が増大すると言われています。また、腰や大腿部、内腿にうまく力を入れられない時、一度ずれが生じると上半身の重みで大きく体位を崩してしまう事もあります。
楽な姿勢を保持するために、不用な加圧やずれ力が起こるのは良くありません。
角度の大きさがそのままずれ力の大きさと連動するため、頭側拳上の角度は30度より小さく留めておくようにしましょう。
○ベッド上では頭側と一緒に下肢も拳上
頭部を拳上すると、下肢に加圧が集中します。特に臀部と大腿部は、体重の一部を支えるように圧迫が続くため、特に体圧がかかります。
圧迫による痺れが起こりやすくなり、褥瘡リスクも高まる要因となります。
仙骨や尾骨部分への体圧集中を和らげるために、まず下肢の膝関節を拳上します。
すると、自分の体重を大腿部の広い面積で支えることができるようになります。併せて仙骨部分や尾骨のずれと圧迫を解消することができるようになります。